1971年2月2日、湿地の保全に関する「ラムサール条約」が採択されました。
世界中の人々に湿地の大切さを知ってもらうため、ラムサール条約事務局が、1996(平成8)年に条約が採択された2月2日を「世界湿地の日(World Wetlands Day)」に制定しました。
また、国連総会は、2021年8月30日に、2月2日を「世界湿地の日」と定める決議を採択しています。
さて、日本各地の泥干潟で見られる「トビハゼ」は、スズキ目ハゼ科トビハゼ属に分類され、スズキの仲間です。
「トビハゼ」 出典:写真AC
トビハゼは、体長10cmほどの小さな魚です。
眼球が頭頂部に突き出て左右が接しているところが特徴的で、泥の上を匍匐(ほふく)前進しながら、平坦な干潟を見渡すのに適しているとされています。
干潮時には発達した胸びれで泥面を這いまわり、微細藻類やゴカイ等を食べます。
通常の魚類は、代謝によって発生するアンモニアをエラ呼吸によって水中に放出するため、空気中では呼吸ができませんが、トビハゼは、エラを用いて水中の酸素を取り込むと共に、皮膚からも空気中の酸素を取り込んで呼吸をしているので、空気中での活動が可能です。
一方、干潟に潮が満ちてくると皮膚呼吸ができなくなるので、ピョンピョンとジャンプして岸辺に逃げたり、石や草の上に這い上がって休んだりします。
水に関する部首サンズイに、少ない魚と書いて「鯊(はぜ)」。
トビハゼの一番の特徴は泳がないことで、魚なのに水が嫌いなようです。
英語では、泥の上を跳ね回ることから「mudskipper(マッドスキッパー)」と呼ばれています。
春から夏にかけて暖かくなると恋の季節の到来です。
繁殖期を迎えたオスは体の色がピンク色になり、深さ30cmほどの巣穴を掘ります。
巣が完成すると、メスの前で求愛のジャンプをして巣穴まで案内します。
メスが巣穴を気に入り、卵を生んでくれると、卵が孵るまでオスが巣穴を守り続けます。
日本の「トビハゼ」は、埋め立てによって干潟が減り続けているため、準絶滅危惧に指定されています。
湿地は、生物多様性の保全、気候変動の緩和と適応、淡水や食料の提供など、人や野生生物に欠かせない重要な生態系ですが、世界では森林消失の3倍の速さで消失しているそうです。
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