開国によって船に掲揚する国際旗が必要となり、明治政府が1870年1月27日(明治3年2月27日)に「太政官布告商船規則」により、国旗のデザインと規格を示したことから、国旗の正しい理解と普及を目的に、(一社)国旗協会が1月27日を国旗制定記念日に制定しました。
日章旗は、この「商船規則」によって初めて国旗と呼ばれ、以後この商船旗が慣習的に国旗として扱われていましたが、それは本来の国旗とは異なる概念のもので、船印として制定されたものでした。(「日章旗」を国旗、「君が代」を国歌と規定する「国旗及び国歌に関する法律」は、1999(平成11)年に施行されています。)
船舶に国旗を掲揚することは、国内においては「船舶法(1899(明治32)年)」に、国外においては「国連海洋法条約(1996(平成8)年批准)」に規定されています。
ところで、商船では様々な旗が使われ、その旗から色々なことが分かるようになっています。
船の最前部には、その船の所有者の「社旗」を掲げます。
最後部には、その船の国籍を表す「国旗」を掲げます。
船の一番高い所には、出港後の最初の寄港地の国旗「行先旗」を掲げ、マストに船舶間の通信に利用する「国際信号旗」を掲げ、周囲の船と会話をします。
「『青雲丸』の船尾」 撮影:船の科学館
上の写真は、(独)海技教育機構の航海練習船『青雲丸』が、オーストラリアに向けて出港するところで、国際信号機「UW1」を掲揚しています。
当館が「UW(航海の安全をお祈りしています)」を掲揚したことに対して、青雲丸が「UW1(ありがとうございます)」と返礼しています。
現在使われている国際信号旗は、アルファベットを示す26枚と数字を示す10枚など計40枚あり、この40枚を組み合わせて使います。
一方、海上自衛隊では、1954(昭和29)年に制定された自衛隊法施行令により、自衛艦旗(連帯旗)は旭日の意匠が用いられ、航海中は常時、艦尾又はメインマストに掲揚して日本国籍を示します。
「護衛艦『ひゅうが』の船尾」
撮影:船の科学館
上の写真は、竣工した護衛艦(DDH-181)『ひゅうが』が海上自衛隊に引き渡され、乗組員が搭乗し、初めて自衛艦旗が掲揚された時のものです。
真新しい自衛艦旗がはためいています。
そして海上自衛隊の艦首旗は、他国海軍に準じ、停泊時は停泊旗として日章旗を掲揚し、航海中は掲揚しません。
船をご覧になる時の参考になさって下さい。
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