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1945(昭和20)年1月24日は「幸運艦」といわれた駆逐艦「時雨」が輸送船護衛中にマレー半島近海で米潜水艦に撃沈された日。

大日本帝国海軍の駆逐艦「時雨」は「呉の雪風、佐世保の時雨」と称された「幸運艦」でした。

1月20日のブログ「今日の海の日」では「雪風」をご紹介しましたが、今日は「時雨」について触れてみたいと思います。

時雨模型.jpg

船舶模型:駆逐艦 「時雨」
縮尺:1/700
所蔵:船の科学館

駆逐艦は激戦地に投入されたため、損耗率が非常に高かった、ということは前にも触れました
「時雨」も1936(昭和11)年9月7日の就役から主要な海戦に参戦しましたが、1945(昭和20)年1月20日に撃沈されるまで第一線に投入され続けました。
そのため「幸運艦」と称されましたが、終戦時に生き残った「呉の雪風」とは違い、戦争末期に最期を迎えることになります。

ここで時間を「時雨」進水時に戻してみましょう。
「時雨」の起工は、1933(昭和8)年12月9日、進水は1935(昭和10)年5月18日です。
日中戦争勃発が1937(昭和12)年7月7日ですから、戦争の足音が聞こえてきたころです。

この時期、軍縮計画制限内で多くの駆逐艦が建造されました。

船舶・艦船の進水時には進水記念絵葉書が作られることが多く、船の科学館も「時雨」の進水記念絵葉書を所蔵しています。

時雨進水絵葉書_表紙.jpg

時雨進水葉書.jpg

時雨進水絵葉書タトウ.jpg

絵葉書:駆逐艦時雨進水記念 絵葉書
2枚組(タトウ付)
寸法(mm):140×91
所蔵:船の科学館

2枚目の絵葉書は雨が降っている海辺を描いているようです。
天候で使う時雨(しぐれ・じう)とは「主に秋から冬にかけて起こる、一時的に降ったり止んだりする雨」のことですから、この絵でも「振ったり止んだり」という時雨の特徴が描かれていると思われます。

建造は日本海軍の駆逐艦建造で有名な浦賀船渠、通称浦賀ドックです。
3枚目の画像(タトウ:絵葉書を入れたファイル)には浦賀船渠のロゴマークがあります。

また、当館は「時雨」進水記念の「シガレットケース」を所蔵しています。

時雨進水記念シガレットケース表面.jpg

進水記念シガレットケース駆逐艦「時雨」
寸法(mm):720×840×120
所蔵:船の科学館

蓋の表面に描かれた船体の下に「駆逐艦時雨」の文字が見えます。

時雨進水記念シガレットケース中.jpg

蓋を開くと「進水記念」の文字と進水日が刻印されています。
日付の左側に「浦賀船渠」の刻印があります。
絵葉書にも書かれていたデザインです。

時雨進水記念シガレットケース刻印.jpg

この刻印から「三越」製であることがわかります。
昭和初期の「三越」といえば、「松坂屋」「松屋」と並ぶ東京銀座発展の象徴といえる百貨店の名店です。

記念品のシガレットケースがいくつ作られ、誰に配られたかは不明ですが、絵葉書とは違い、限られた人に配られたものと考えられます。

進水記念品はその船舶・艦船への期待・思い入れの現れといえるかもしれません。
「時雨」をはじめ当時建造された艦船は、我が国、海軍の大きな期待を背負っていたことが伝わってきます。

主要目

基準排水量:1,685トン
全  長:111メートル
最大幅 :9.9メートル
吃  水:3.5メートル
主  機:艦本式オール・ギアードタービン2基2軸
出  力:42,000馬力
速  力:34ノット
航続距離:18ノット/4,000海里
乗  員:222名

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