
≪2022年、全人類に笑顔を捧ぐ≫
として、厳しい表情を浮かべて、いやそれ以上に、対象を睨み付けているのは、吉本興業の男性芸人たちである。
≪消防団に参加せよ。
明日の笑顔は
君たちに託された。
消防団員募集中≫
ポスターでは「笑顔」と言いつつ、峻烈と言ってもいい険しい表情。アピールの中身と登場者の表情が相反している。
消防団の現状は厳しい。消防団とは消防本部と同列に各市町村に設置される消防機関である。非常時は消防署員と共に消防防災を担い、平時も地域住民の安全を守るために活動する。しかし団員数は毎年1万人規模で減少し、全国で80万人を切ろうとしている。一方で災害は多発し、激しくなっている。そうした状況を、お笑いの芸人たちに峻厳な表情を示すことで表現したものだろう。
消防団員の処遇等の検討は進み、報酬は36,500円(年額)を標準とし、一回ごとに出動報酬8,000円となった。加入を促す処遇の条件は整ったのか。
訓練ではパワハラ体質の上官(軍隊と同じ)の命令に服し、ビンタはないにしても、叱責や嫌みに耐える。号令の下作戦に従事するのは、軍隊と同質の組織であるからやむを得ないのか。
消防署員が火消しの大半を、いやすべてを担う。即時体制を取る職業署員が火事場に駆けつけ、遅れてやってくる消防団のポンプ車では施しようがないし、たいていは鎮火した後で到着するのだろう。大きな火事でも他の消防署から巨大ポンプ車の応援がある。消防団は見守って、野次馬整理がせいぜいなのはやむを得ないのか。
行方不明者を捜索するにあたっては警察と一緒に全面展開となるが、しんどい業務だと思う。勤め人として多くが地域の外に出るため、呼び出されて出動するのは、いつになるかが分からない。心理的な負担が多いのもやむを得ないのか。
カネの問題ではなさそうだ。公共のために頑張るという強い意思を育むことについて、団員となる青年(たいてい45歳以下)の意識を高めること以上に、組織態勢の問題も解決しなければならない課題だと思う。
(春の陽光に照らされたモクレンの芽。消防団組織も芽が膨らむようになってほしい)