尊属が殺しあうのは惨たらし [2018年11月30日(Fri)]
自分や配偶者の直系血族で親か、それより上の世代を殺すことを尊属殺人と言うが、かつては普通の殺人より刑が重かった(無期懲役か死刑)。40年ほど前に違憲と判断されて、普通と同じく3年以上の懲役または死刑となった。儒教的な倫理観で縛るよりは、法の下の平等が勝るという判断であろう。
尊属の「属」とは所属し従属させられる関係であり、無条件で尊敬の対象としなければならない。そんな儒教的孝養にそぐわない尊属もいる。パワハラ、セクハラ、さらに性的虐待を浴びせる尊属もいるだろう。耐えかねて殺したときに、死刑か無期しかないというのは酷だ。 2016年に発生した殺人事件のうち、55%が親族間殺人だったということだ。家族や親族間の人間関係が危ういと言えるかもしれないが、親子間の葛藤で生じる憎しみは尋常なものではない。そもそも可愛さ余って憎さ百倍になりがちなのだ。横溝正史が描いた凄惨な愛憎劇は、戦後とはいえ特殊な事情ではない。 出雲で母と祖母を殺した事件、数日前は宮崎で一家と知人計六人の惨殺遺体が見つかった事件、ほかにも最近一族の殺人があった。親子間や親族間で本音を出すことが過ぎると、歯止めがきかなくなってむごたらしい結果になるおそれがある。みんな仲良くしろとは言わない。しかし、オブラートに包むか、距離を保って生き延びよう。 (松江路を歩けば、過ぎていく錦秋、名残惜しいなあ。でも来週半ばまでは暖かいらしい) |