哲学を思弁するなりのんびりと [2015年06月30日(Tue)]
この期に及んで何をしようとしているのか。周りがなんとかしてくれると思っているのだろう。ギリシャは不思議な国だ。
ギリシャのチプラス首相は15億ユーロ債務について、「銀行が窒息状態にあるのに、どうやって支払えと言うのか」と居直った。債務不履行は目の前にある。財政を緊縮させるか否かを問う7月5日の国民投票結果を待つと言っている。ここで反緊縮の世論を示してギリシャの発言力を強めるというが、本気とは思えない。IMFだけでなく、EU中央銀行からも35億ユーロの返済が迫っているというのにだ。 債務不履行となれば、資金は枯渇し国民生活は転落する。生活物資も正規の購買ルートでは買えず、闇市化するかもしれない。財政を緊縮させれば景気は一時的に失速し失業は増える。ギリシャの将来は暗い。かといってユーロ紙幣は自前では刷れないから、かつての通貨・ドラクマに復古させるのか。国の信用に裏付けられない通貨はハイパーインフレとなり、紙屑に等しい札束の山の前で人びとは右往左往するだろう。ギリシャ国民にとって、無粋で苦いばかりのトラウマ経験(ドラクマと似ている)になるのではなかろうか。 しかしギリシャ国民は破局が目前なのに、いたってのんびりしているらしい。公務員の雇用を守れ、賃金を減らすな!年金支給水準を落とすな!とデモが賑やかだ。銀行で預金をおろすのも制限されており、焦ってもしゃあないと哲学でも思弁しているのだろう。 ギリシャの経済規模はユーロ圏内では無視できる程度らしいから、ユーロは重い足かせを取られて楽になる。今はユーロ安が進行しても、いずれ回復するだろう。問題はギリシャが破綻してしまうことなのだ。元はといえば長年の放漫財政運営に原因がある。財政数値の虚偽報告もあった。それでも人道上必要となれば援助の手が差し伸べられるだろう。 しかし、公務員や年金生活者ばかりが取り得となる援助では困る。困った人にのみ支援の手が伸びる方法があれば(例えば現物支給)、人道的にも後腐れのない支援策となるまいか。そうしたクスリが効いて始めて、自分のエゴのみ主張してきた多数派に反省の機会が与えられるような気がする。 |