くうを切りそらからうつろ仮姿 [2021年04月24日(Sat)]
【空あり】
大都会では空が見えない。だから高層ビルに上って青空を存分に眺めよう、という意味ではない。「空きあり」である。駐車場に空きがありますよ、どうぞ借りてくださいね、と小さな駐車場の主がアピールしている。乗用車にして6、7台が入る程度、狭くて砂利を敷いた駐車場である。家一軒分、おそらく主がいなくなった古い家を取り壊して造成したものであろう。 【空】とは、「くう」なり、「うつろ」なり。何もないように見えても、かつては家族の団欒があったにちがいない。大空のもと当たり前だと思っていた家族のつながりが、やがて空を切るようになって、空をつかむように実体が失くなっていく。すべてのものごとは永遠ではなく仮の姿であることを忘れてはならない。今を大事にしよう。 (かつてはこの家の狭い庭にも、こんな隠岐シャクナゲが咲いていたかもしれないな) |