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哀調の軍歌は人を詩人にす [2020年09月30日(Wed)]

fumihouse-2020-09-30T21_33_35-1-thumbnail2.jpg「露営の歌」(藪内喜一郎作詞/古関裕而作曲)は勇ましい歌詞である。だが、イ短調の響きによって望郷の念を呼び覚まされ、兵士は胸をつまらせたことだろう。

 勝ってくるぞと 勇ましく
 誓って故郷(くに)を 出たからは
 手柄立てずに 死なりょうか
 進軍喇叭(らっぱ) 聞くたびに
 瞼に浮かぶ 旗の波

朝ドラの『エール』で古山裕一がこの作曲を手掛けた。戦意高揚を目的としていながら、哀愁を帯びている。お国のため云々とは建前で、冷酷な国家を呪いイジメ体質の軍隊を嫌う。天皇陛下万歳と叫んで死地に向かっても、母や妻子を思って死んでも死にきれなかった彼らの思いを代弁したメロディだと思う。

古山は戦争協力者であることは間違いない。戦犯とされる可能性も十分あったことだと思う。それでも哀調の軍国歌謡をヒットさせることで、時代の波に巻き込まれながらも一矢を報いたと言えるのではないだろうか。

(小紫は一矢を報いるか。誰かを恨みに思うのではなく、ひたすら自らのために高貴な紫で秋を飾る)