パラサイトドキドキワクワクビッグバン [2020年02月09日(Sun)]
韓国で昨年メガヒットした映画『パラサイト 半地下の家族』に圧倒された。失業中の一家が高台の金持ちに次々寄生していく展開にドキドキする。危うく露見しそうになるが、逃げおおせるのは人のいい金持ちの油断があったから。計画的で演技力たっぷりの失業一家であったが、彼らも油断した。
大脱出劇の結果、高台の豪邸からほうほうのていで逃げて半地下の家に向かって急ぐ家族。しかも雨。その惨めさが階層社会を象徴して深い感銘を残す映像であった。 高台からひたすら下っていくのである。坂道を下り、階段を下りる。シーンは全て下り。豪雨が降っている。その詫びしさにいたたまれない。しかも半地下の家は水害で水没したのである。一家は体育館の避難所に逃げた。 脱出の時から、軽快なBGMの底には低い不協和音が流れて一家の惨状を裏打ちする。なかでも父の苛立ち、怒りが徐々に凝縮されていく。大水害ののち、低層に住む低所得層の嘆きをよそに、金持ちは我関せずであった。その無頓着さ、そして金持ちが持つ傲慢さに父の怒りはビッグバンを起こした。 映画はいろんなどんでん返しでもって観客を飽きさせない。ため息をつきながらも、楽しくバクバクしながら観た2時間あまりだった。 (半地下の窓からも傘をかぶった朧月にかかる飛行機雲が見えることだろう) |