50回ファーストキスの得難さよ [2018年07月09日(Mon)]
『50回目のファーストキス』では、長澤まさみが彫像のように美しく光る。お茶目なところも人間味があってよろしい。コメディでも笑わせてくれる。
ハワイ・オアフ島に住む瑠衣(長澤まさみ)は、交通事故によって高次脳機能障害を患っている。翌朝になると昨日のことを一切覚えていない記憶障害だが、事故以前のことは覚えている。父と弟は腫れ物にさわるように同じ生活を繰り返していた。 瑠衣に一目惚れした大輔(山田孝之)は猛然とアタックし、二人は恋に落ちた。残念ながら一晩眠ると赤の他人に戻って元の木阿弥。大輔は一計を案じた。瑠衣に毎朝、事故以後をふり返るDVDを見せるよう仕組んだのだ。二人の仲は急速に進み、瑠衣は「ファーストキスって最高!」と、キスをするたびに感激する。 初めての体験。何事もそうなのだ。未知への扉が開く未体験ゾーン。ドキドキしてめくるめく快感がある。ただ慣れてくると、新鮮さは薄れて当たり前のこととなる。楽しむことができず、感謝がなくなり、不満など持つようにもなる。しかしそれが失われてしまうとき、得難い貴重なことであったのがわかる。日々のルーティンを大切にしよう。何気ない会話だって宝物なのだと思う。 (八甲田山の沼地に生えるゴゼンタチバナ。山法師に少し似ている) |