瑞風を蒸気機関が牽引す [2017年12月27日(Wed)]
トワイライトエクスプレス瑞風を蒸気機関車が牽引したら、どんなふうになるでしょうね。濃い緑の車体、硬質だが流線型のフォルム、広い窓からは高級感のある室内調度品がのぞいている。機関車はもちろん瑞風の車体に一体化させたデザインで、大きな車輪とシリンダーをつなぐクランクからは重厚な摩擦音が響き渡り、ボイラーから発した蒸気が警笛とともに周囲を圧します。新作の映画『オリエント急行殺人事件』を見ていたらそんなことを思ったのでした。
迫力ありました。蒸気機関車の迫力、イスタンブールからヨーロッパを南から北へ。アルプスの山岳地帯を越えて行く。真冬の凄まじい雪に加えて雪崩の迫力。さらに探偵ポアロが頭脳戦だけでなく、アクションでも迫力満点の見せ場をつくってくれるとは驚きでした。 イスタンブールでポアロが乗車したのはオリエント急行でした。休暇中だったにも関わらず、そこで殺人事件が起こります。筋書きはご存じのとおり言うまでもないですが、映像的な迫力にとどまらず、ポアロの心が大きく揺れるのも、迫力満点でした。真実を追求することが果たして正義なのか。犯人群が抱いた深い悲しみは理解できた、しかしそれを最後まで守ってあげるべきなのか。ポアロは揺れました。そして自らの死を賭して彼らの善なるものを引き出したのです。 ポアロに電報が来ました。エジプトへの来訪を要請するものでした。アガサ・クリスティ「ナイルに死す」が続編となる前触れです。 主演はケネス・ブラナーでした。『ハリー・ポッターと秘密の部屋』でのロックハートは、嘘八百の頼りない魔法学校の先生でした。『ダンケルク』で演じた撤退作戦の指揮を執る海軍将校は最高にカッコよかった。この映画はどうかと期待していました。しかも監督ですから。自前だという二重のカイゼル髭が立派です。これだけでも従来のポアロ像を変えました。見るに値する映画です。 |