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さまざまの事おもひ出す桜かな(芭蕉) [2015年03月30日(Mon)]

fumihouse-2015-03-30T18_36_02-1-thumbnail2.jpg桜の季節に一年たったことを思う。卒業があり、入学式を決意新たに迎え、新しい友と出会い、教科書を開く。仕事に就き、名刺交換の仕方を覚えて、先輩に連れられては赤提灯をくぐる。歳月を経るごとに春の思い出は積み重なっていく。改まった一年は正月に迎えるとしても、うららかな春とともにやってくる新年度の新鮮なこと。春といえども酸いこともある。それも含めて絶品の味わいが春にはある。芭蕉の句「さまざまの事おもひ出す桜かな」は言い得て妙である。

桜の咲き誇る春になると誰しも感傷的になり(もの想う秋以上に)、さまざまに想い出す。春風駘蕩、のんびりと日だまりにたたずんで穏やかに過ごすばかりでなく、春の息吹きに人間は燃えだすものだ。

 春霞たなびく山の桜花
    見れどもあかぬ君にもあるかな  紀友則

「あなたをいくら見ても飽きない」と。恋の季節だなあ。だから心は千々に乱れて狂おしい。眺めるだけではなく恋仲の二人になりたいと、業平も念じていたのではないだろうか。

 世中に絶えて桜のなかりせば
    春の心はのどけからまし  在原業平

桜は単に桜ではない。万朶と春の空を染める桜のように美しいあなたの心をものにしたい。桜がなければ春に心乱されないのと同じように、あなたがいらっしゃらなかったなら、私はさぞや穏やかな春を迎えられるのに。と、まったくもって勝手な解釈……。

(花桃は満開。ピンクが夕陽に映えて艶やかで楽しげで煌びやか)