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漫画家に本気出さない人変わる [2013年06月25日(Tue)]

__tn_20130625183946.jpgグータラ男しずお(堤真一)が登場するありえない仮想映画が『俺はまだ本気出してないだけ』でした。そして思いの外いい映画でした。笑顔をあまり見せない3人が登場し、あとになって実に効果的な働きをします。しずおの娘鈴子(橋本愛)、親友(生瀬勝久)の幼い息子、ちゃんと生活したいけどできない男(山田孝之)です。

長くない映画ですが、登場人物の人間像がよく描けています。背景にある人生体験をも想像できるほどに。自身はどの人物に当てはまるだろうか、と思いながら見る楽しみもあります。よもや自分は主人公とは違うと思わせつつも、いやひょっとして自分もそうかも、と疑わせます。大事なことを先送りにし、家族と向き合うことから逃げ、目先の小さな快楽にうつつを抜かす。極端ながら自分自身だなあと疑う気持ちになって、身につまされます。

大黒シズオ42歳。「本当の自分を見つける」と会社を辞めたが何もプランはないのです。朝からサッカーゲームばかり。家での格好はいつもTシャツにトランクスの下着姿。頭の上がらない親父には毎日怒鳴られていますが、高校生の娘鈴子がいつも涼やかな目をしていられることが不思議です。

ある日突然漫画家になると宣言。自信はたっぷりですが根拠は全くない。失敗するたびに責任を他になすりつけ反省の色はない。空想の世界に堤真一が演じ分ける10代・20代・30代のしずおたち。さらにしずお顔の神様まで登場してきます。実に笑えます。笑いながら考えさせられます。

しずおの家は東京・八王子にあるようでした。しずおと鈴子が、父として娘として、そして一人の人間として向き合って語り合ったシーンが印象的でした。あれは多摩川だったのでしょうか。それとも支流の浅川か。川の土手を二人が歩き、カメラの長回しでポツポツと心情を述べ合います。あの広々した景観が心に残りました。すぐにヒットを飛ばす漫画家にはなれないかもしれませんが、前に進む、恐れずに進む人間の群像が心に残ります。

(写真はネジ花。ネジ花が巻くように毎日は螺旋を描いて進みゆく)