出発だやってみてから力出せ [2012年09月24日(Mon)]
人が持っているはずの可能性を閉じてしまう限界にはいろいろある。体力的な限界、もって生まれた才能、知力、財産、ネームバリュー、ネットワーク力、包容力、聞き取り力、判断力、人心掌握力、国力の限界など数えればきりがない。だが、最も人のやる気をそいでしまうのは、「自分にはどうせダメだという諦めの気持ち」であろう。それを裏付ける話がある。
≪脳科学者の池谷裕二氏の講演で、興味深い話を聞いた。20歳前後の若者と、60代から70代の高齢者に、それぞれ単語のリストを見せ、記憶力を比較する実験。事前に「これは心理学のテストです」と伝えて行うと、年配者と若者の正解数に、ほとんど差はなかった▼ところが「これは記憶のテストです」と説明して同じ実験をすると、年配者の方だけ正解数が約3分の2に落ちた。「年だから覚えられない」との自己暗示が能力を抑えてしまうという≫ (聖教新聞2012年9月20日付け「名字の言」) なるほど、と思う。記憶力は確実に落ちる。あれだそれだと指事語が増えて、人の名前が思い出せないことはしょっちゅうだ。前はそれほどひどくなかったのに、と気が萎える。加齢による衰えは隠せない。 しかし上の話は、自分が潜在的にもつ力を引き出せないというような高度なことではなく、気持ちひとつで現に持つ力ですら発揮できないということだ。まずはやってみよう、まず着手してみよう。面白さに気がつけば記憶力ばかりか、思わぬ力が引き出されてくるかもしれない。諦めるのは、やってみてからでも遅くない。 (写真は明るい紫色の紫式部。才女・紫式部だって記憶の衰えに悩んだに違いない) |