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似ていても呪いと祈り正反対 [2012年05月02日(Wed)]

20120502230504.jpg(加藤の乱は失敗したが一日10万件もの応援メールがきて)≪ネットには世論のマグマがあふれているよう見えましたが、「永田町」とはほとんど関係がなかったのです。(中略)
 私が一番問題だと思ったのは、自分の中に鬱屈する不満のはけ口として匿名でネットを使うケースです。そこからは何も生まれない。政治に使ってはいけないと思いました。≫ (加藤紘一「双方向で本音を聞きたい」朝日新聞4.27付け)

かつては黙っているしか手のなかった人が、ネットのおかげで今や自由に言説に参加する。ところが匿名での発信は恐ろしい。だんだんとエスカレートして人や地域を小馬鹿にして傍若無人となる。たとえば、「島根県って必要ないよな」という呪いのテーマで2ちゃんねるは盛り上がる(抜粋/鳥取と島根の区別がついてない発言も)。

  >島根にパソコンなんてあるわけない
  >取鳥県は無くなっても半年くらい誰にも気づかれない
  >兵庫県の隣ですとか地味に関西寄りアピールしてる奴がいたときは盛大に笑ったw
  >地元に残ってる若者は働き口もロクにないしマジヤバいよな パチンコとセックスしかやることねえのかってくらいヤバい
  >うんww けど廃れても構わんと原住民も思ってるから、どうもならんよね
  >韓国にあげようぜ 反対する奴はネトウヨ
  >どっちが最底辺なの 
  >というか何も無いような県が島根馬鹿にしてたり 売国県が島根馬鹿にしてるの見ると失笑しかでないわw

まさに呪いの言葉のオンパレードである。漢和辞典によれば、呪うは口+兄で大きい頭の人。祝うも元は同じ意味で、人が神前で長く尾を引く祝詞(のりと)を唱えること。祝うの「示」は祭壇の意なのだそうだ。

≪社会的正義の実現は不正からの受益者を血祭りに上げることであるという思考(というより思考停止)は、今の日本にあまりに広く瀰漫(びまん)しています。(中略)
 ネット上に氾濫している攻撃的な言説のほとんどは僕の目には「呪い」に見えます。言葉によって、その言葉を向けられた人々の自由を奪い、活力を損ない、生命力を減殺することを目的としているのであれいば、その言葉はどれほど現代的な意匠をまとっていても、古代的な「呪詛」と機能は少しも変わらない。われわれは今深々の「呪いの時代」に踏み込んでいる。このことの恐ろしさにほとんどの人々はまだ気づいていない。≫
 (内田樹×釈徹宗『現代人の祈り』2011年,サンガ新書)

クレーマーと言われる人も、不機嫌をあからさまに周囲にぶつける人も呪いの毒素をまき散らす。「呪いの時代」にあって、人を呪わば穴二つにならないように気をつけなければならない。呪いに対し呪詛で応えることは自身が墓穴を掘ることになる。