
映画『ラーゲリより愛を込めて』を見る前は、ソ連の強制収容所で収容された元兵士らが残した家族に思いを込めて手紙を送る、それに「愛を込めて」と表題を付けるとは陳腐だと思っていた。が、嗚咽するのを堪えながら、やっぱり愛を込めてでいいと思う。
日常に美はある。穏やかな木漏れ日を、空の青さを、小鳥のさえずりを、風の心地よさを、花に舞う蝶を、笑顔で交わした会話を・・心に留めて記憶に残す。記念すべき重要な日も、そうでない平凡な1日も、すべては未来への財産である。生き長らえてほしい、できるだけ健康に、荒波に負けずに、歌を歌っていい人生を送ってほしいという家族への願いに心動かされる。
山本幡男(二宮和也主演)が口ずさんだ「愛しのクレメンタイン」。歌詞をじっくり見ると、山本の家族を思う心が反映されたようで悲しい。
Oh my darling, oh my darling,(ああ、愛しの人よ)
oh my darling, Clementine.(愛しい人、クレメンタイン)
You are lost and gone forever,(あなたとはもう二度と会えないんだ)
dreadful sorry, Clementine.(悲しすぎるよ、クレメンタイン)
終わりの見えない責め苦に遭えば、人は絶望する。それでも人は希望を捨てない。希望があれば生き続けることができる。会いたい人に会うことも希望なり。会いたい人に会えることは、実は当然ではない。それに感謝しつつ生きることを続けようと思う。