ぐるんぱはグルンぐるんと世のために [2024年09月05日(Thu)]
故・堀内誠一の絵本『ぐるんぱ の ようちえん』(作:西内ミナミ)を読んだ。半世紀も前に手掛けられた名作である。
汚くて臭かった少年象のぐるんぱを周囲のゾウたちがきれいに磨き上げて仕事に送り出した。皿を作る・・パン屋でパンを焼く・・自動車を1台作る、他にも何かあったが、ぐるんぱのつくるものはデカすぎて人間の尺に合わない。なもんで、すぐにお払い箱になる。最後は作ったものが世のためになってめでたしめでたし。 どれもこれも熟練と協働を要する作り物ばかり。素人のしかも子どもの象に出来るわけはない。教えを請うて手伝ってもらって、ぐるんぱは人間たちから慕われたに違いない。技術も人情(象情か)も素晴らしいものになるよう、きっと仲間の象たちは魔法を掛けたに違いない。ただ惜しむらくはサイズ感であった。 でも、周囲の象たちは働かないのか。子どもだけを働きに行かせるなんて児童虐待だ。そもそも、ぐるんぱには周りの大人象を疑うということはなかったのだろうか。 てな、不粋なことは言わないでおこう。彼が語った「絵本とは、大人を信じている子どもたちに手をさしのべるもの」という言葉。堀内は周囲の象や人間を信じて進むぐるんぱに子どもたちをなぞらえていたのだろうよ。 (今夕の雲を堀内はなんと見るだろう。私には巨人の脳ミソに見える。今、列車から見る宍道湖の夕日が眩しく映えている) |