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殺さずにるろうに勝つは恋心 [2012年09月08日(Sat)]

__tn_20120908162950.jpg先週末映画の日の9月1日に若い子らがやたらと向かっていた先が『るろうに剣心』。そのスクリーンで、緋村剣心こと佐藤健の人気のほどを知った気がする。緋色の羽織を着た剣心がかわいらしいこと。髪はばさついているものの、頬に十字の刀傷がある以外肌はきれい。なで肩のきゃしゃな美青年から「・・でござる」と優しい物腰で語りかけられたら、女性たちはうっとりするだろうと想像した。

『るろうに』は、専守防衛を超えて非武装中立を永遠の夢として描いたファンタジーである。自分から攻めはしないが、こちらから攻撃すれば手ひどいしっぺ返しをうけるに違いない、といじめっ子が警戒すれば手は出せない。腕力、目力、言論力、まわりからの支援などを総合してひとは他人からの攻撃を撃退できる。同様に、堅い守りを示す専守防衛国を侵略しようとしても、大きな痛手をこうむると考えれば、少々軍事力が勝る覇権国も侵略に手を染めることは簡単にできないものだ。

【るろう】とは「流浪」。定住せずにさまよい歩く男が剣心である。身体だけ流浪しているのではなく、かつて「人斬り抜刀斎」として数え切れない暗殺に身を捧げた男が、その後悔から心の安定を求めて迷い続ける姿を表している。さらに【るろうに】という造語がおもしろい。「流浪人」につながるだけでなく、「流浪に生きる」「流浪にならざるを得ない」という意味が隠されているのだろう。

敵役・吉川晃司の殺陣が激しく重いこと。軽い剣者の切っ先など軽くいなしてしまう速さと強さを合わせ持つ剣だ。架空とはいえ、超一流の人斬り剣術士である(『必死剣鳥刺し』で見せた雨中の壮絶な刃傷を思い出す。相手は豊川悦司)。同じく敵役の外印も、警視となった斎藤一も含め、強い剣客というものは覇権国の立場である。元老・山県有朋もそうだった。武力にはさらに強い武力をもって相手を圧する攻撃の思考。典型が「殺さずに戦いが終わるものか」という敵役の言葉だ。

一方で剣心は、逆刃で相手を打ちのめす程度で維新後は収めている。今はまだ専守防衛の段階であっても、いずれは非武装中立、すべての人が武器を持たずに平和に暮らすことを彼は夢見ている(多分)。「人を斬ればそこに恨みが生まれる。恨みはまた人を斬らせる。その連なりを絶つ」という台詞が剣心の思想である。それは、全人類が求めて達せられるべき非武装中立という理想を体現している。彼の、誇りや体面は命を賭けるに値しない、という言葉も印象的だった。

超絶的な剣を繰り出す敵たち。剣心は危うくなる。だが絶体絶命のピンチで再び暗殺者の「殺しの心」が復活しそうになる。それを止めるのが神谷活心流の薫(武井咲)。最後に剣心は、超が三つも四つもつく美技でもって剣心は相手を殺さずして倒す。その原動力となったのがキュートで純な薫。恋は戦いよりも強し、であった。
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