スペインの弦に爪弾く神なれば [2022年12月05日(Mon)]
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キレッキレのスケールやアルペジオが硬質な音で響いたかと思えば、甘く深深たる音に転じる。慈愛と陶酔、決意と飛翔、さまざまな思いが心に去来する。一台のギターから紡ぎ出される多彩なセゴビア・トーンに酔いしれる。今でもあらゆるギタリストの頭にはセゴビアがいる。 ホワイトハウスの演奏会では86歳。もはや昔日の面影はない。音はかすれ、ミスタッチは多く、キレはない。だが、聴衆はかつてのセゴビア・トーンをレコードで聴いて知っている。老いさびて丸まった背中であっても、伝説の「神」を眼前にしたときに、かつての鮮やかさが蘇ってきたのではないだろうか。 そして「神」は老いて衰えてなお、ギターを手に取り日々に研鑽を積んでいる。その姿に生涯学び技術を深めることの大切さを感じたに違いない。セゴビアは練習中に心臓発作で亡くなったという。ギターの「神」はギターとともに逝った。 (絢爛たるカーネーションのとカスミ草の取り合わせ。セゴビアの演奏は、さらに百倍豪華と言えるかも) |



