永遠の名曲なれど難曲よ [2022年10月13日(Thu)]
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少女ポレットと少年ミシェルが十字架作りという「遊び」に熱中していく。死の意味を解さないポレットにとって、その遊びはドイツ軍の機銃掃射で殺された両親への鎮魂となったのだろうか。いやそうはならない。ママがいない寂しさを紛らわすものでしかなかった。彼女にとってママとパパはどこかに姿をくらましているだけなのだから。それがまた観るものの哀愁を誘う。 ナルシソ・イエペスが弾く愛のロマンス。もう150年くらい前に作曲された曲である。映画が封切られた1952年以降、この曲はイエペスの代表曲となり、「禁じられた遊び」と通称されて、それはクラシックギターの代名詞となった。 テクニック上、始まりは易しい。取っつきやすい。ところがセーハが随所に出てくる。指を大きくストレッチする箇所では音が出ないことも多い。だから一曲弾くたびにヘトヘトになるし、完璧に弾けたためしがない。しかも、皆さんがよく知っているとなると、要求水準も高い。だから難曲である。それでもわたしは禁じられた遊びに挑む。 何十年も前、イエペスが存命の頃、東京での演奏会でサイン会が開かれた。プログラムにサインしてもらう。握手をした。にこやかな笑顔で彼は応じてくれたイエペスおじさん。柔らかくて温かくて、大きくない、むしろ小さな手だった。あのサインどうしてしまったんだろう。 |



