• もっと見る

«塗り込めて腐臭はまんざら悪くなき | Main | 充電にスマホはスマートならざれど»
<< 2024年03月 >>
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            
検索
検索語句
月別アーカイブ
カテゴリアーカイブ
最新コメント
https://blog.canpan.info/fumihouse/index1_0.rdf
https://blog.canpan.info/fumihouse/index2_0.xml
最新トラックバック
不幸せ運ぶ人なりああキャリー [2012年05月06日(Sun)]

__tn_20120506210625.jpg学園ものホラー映画『キャリー』を観た。最後のシーンで顔が蒼白になったような気がする。怖かったが近頃のホラーと違って、母との相克、いじめと裏切りを通して人間の残酷なさまをえぐり出すように描く名作である。

極めつけのキリスト教原理主義の母に育てられてきたキャリー。常に抑圧されつつ育った彼女と母との物語であり、母離れをする儀式のそのときに全ての悲劇が起こった。

母は殉教してイエスのように死に、キャリーはサイコキネシス(超能力)を完成させ、卒業パーティーで多くの学友が死に(キャリーにとって極めつけの裏切り者)、キャリーの幸せを願った唯一の友はPTSDで苦しみ、キャリーの家は崩れ焼け落ちた。

帰宅して家中がろうそくの炎に満たされたのを見たキャリーはどう思ったのだろう。あれは母がキャリーを悪魔と信じ悪魔祓いを完成させたものだ。キャリーは誰も味方になってくれないことに絶望し孤立無援に戦った。結果があの大量殺人となったのだと思う。

キャリーを守っていたはずの体育教師は変節したのか。キャリーにはモザイク状に見えた群衆のなかで女教師はへらへら笑っていた。キャリーを心配するのではなく、バケツが落ちた事故で気を失ったボーイフレンドのことしか気にかけてはいなかった。どこで変わったのか、それともキャリーは皆を呪うなかで、いっしょくたになってしまったのかはわからない。サイコなキャリーは血をかぶるとパニックに陥るからだ。

こんなとき、もう一度観たいと思う。画面の隅々まで目を配って観たい。一度目には見えなかったことがわかるだろう。キャリー(carrier)とは運搬者とか、病原菌のキャリアの意味がある。彼女のファミリーネームはホワイト。純で白無垢のようだったキャリーは、裏切りと冷酷さにさらされることよって、酷くも赤い血と不幸せを運ぶ人となってしまった。ああ可哀想なキャリー。
トラックバック
ご利用前に必ずご利用規約(別ウィンドウで開きます)をお読みください。
CanpanBlogにトラックバックした時点で本規約を承諾したものとみなします。
この記事へのトラックバックURL
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
トラックバックの受付は終了しました

コメントする
コメント