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憑依してジオンは二重三重になる [2020年10月29日(Thu)]

fumihouse-2020-10-29T13_21_04-1-thumbnail2.jpg細面、細身の美人ママである。幼児の世話や家事をこなしている。苛立っており空虚感もある。映画『82年生まれ、キム・ジヨン』はそんなふうに始まった。BGMはあまりなく、ケータイの呼び出し音が不安定で不穏な感じをかもし出す。

ジヨンが結婚して専業主婦となって生まれたのは、癇が強い2才前後の女の子だ。夫はいい会社に勤めて優しいイケメン(V6の井ノ原に似ている)。育児に積極的に参加し、妻への思いやりにも溢れてはいるものの、儒教の色に染められて母の意見に引きづられがちだ。義母や義父との軋轢もあり、ジオンは閉塞状態にある。

公園でこれ見よがしに聞こえた若者グループの声は「専従主婦は気楽でいいよな」。ベビーカーを押して歩くジオンにとって戸外は安心できる場ではない。しかし家中も安息の場ではなく、子育ての毎日が煮詰まっていく。多くの女性たちに共感されるシーンであろう。男のわたしにとっては、夫の振る舞いにやきもきすることも含めて、座席を離れてどこかに行ってしまいたい気分。

ガットギターのアルペジオが流れるBGMが2回あった。喜ばしい場面展開を示すところだ。一度目は女性の元上司が起業してそこで働かないかと誘われたとき。これは周囲の反対と病気が原因で頓挫して、再び鬱屈へ。二度目は病気であることを認識し、治療に立ち向かう覚悟を決めたとき。そのままエンドロールに展開が開けて、観る者は胸を撫でおろし爽快感にひたる。

中盤でファストフード店でコーヒーカップを落としてしまったジオンに、他の若者グループが冷酷にひそひそと聞こえよがしに非難する。ジオンは反撃した。啖呵を切った。すでにジオンは一皮むけていた。

女性の生きづらさと息詰まり感を的確に表現するこの映画。わたしは中盤までそわそわと落ち着かなかった。観ることの辛さやジオンを傷つける人々の強い視線がイヤだった。席を立とうかとも思った。最期まで観て正解だった。

悪人はおらず、いい人ばかりなのに根付いた儒教的価値観をもってして、「当たり前でしょ」の一言で片付けて主人公を追い詰める。やがてジオンの胸の奥の苦しさを憑依した声が代弁した。一種の防衛反応から来る症状であろうが、そこまでにしておく。どうぞ映画をご覧くださいな。

(打ち沈む時期のジオンにとっては、ピラカンサスの実がこんなに鮮やかでも、目には入らなかったであろう)
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