爽快か悲劇か空中戦争や [2018年09月11日(Tue)]
『トップガン』はトム・クルーズの名を不動にした1986年の名画です。キーワードは「かけひき」ですね。
ファントム戦闘機の天才的パイロットとして敵方(名前は出ないがソ連)ミグ戦闘機とのかけひきが冒頭にあります。次に空中戦で敵を圧倒するべく創設されたエリートパイロット訓練学校(通称トップガン)。そこで行われる教官パイロットとの訓練中のかけひきです。いずれも目まぐるしく画面が展開し旋回して4Gの過酷な世界に浸るとこちらも苦しく感じました。 学校では絞られるばかりではありません。年上の教官との恋のかけひきもあります。シャーロットにマーベリック(トム)は一目惚れし猛烈なアタックをかけるのです。彼女は軍人ではなく航空物理学の専門家。実に魅惑の女性です。チャーリー役のケリー・マクギリスが魅力的でした。マリリン・モンローから余分なエロさをそぎ落とし理知的にした感じでしょうか。 同僚ともライバル心丸出しに対抗します。あまりの一匹狼ぶりに、お前は危険なヤツと言われ続けました(マーベリックとは焼き印のない牛、すなわち一匹狼のことらしい)。映画のあとで、信号が赤に替わる直前にアクセルを踏み込んでしまいました。わたしまで危険なヤツ!となってはいけません。 相棒が訓練中に死にました。マーベリックは戦闘機に乗ることが怖くなります。トップ卒業どころか、パイロットを続けることすらも危ぶまれたのです。しかし、敵国ミグ戦闘機がインド洋上で活動中の巡洋艦に襲いかかろうとしていたときに緊急出動がかかります。援護に回ったマーベリックでしたが、同僚の危機を間一髪救います。彼は危険なヤツから脱して、チームプレーもできる真の英雄になったのでした。 冷戦崩壊前の映画です。製作そのものに相当な抵抗もあったことでしょう。今となれば東西冷戦は遠い昔です。敵の戦闘機が空中爆破されました。彼にも家族があったはずです。爽快さとともに、戦争の悲劇も思わされました。命の取られるかけひきは無用です。 (なぜかブラシの木の花が咲いている。写真は春のものだが今は短い貧弱な花だ。これも季節とのかけひきか) |