計画は現場を知って第一歩 [2018年08月01日(Wed)]
「帷幕(いばく)の内に謀(はかりごと)をめぐらす」
知謀に優れた軍師は帷幕(本営)にあって報告をきくだけで戦況を知り、敵の動きを見破って勝利する……賢人はともかく、凡人であるならば現場を知らずして頭だけで考えて手を打つのは愚かだという意味で、この言葉を使ったのですが、記憶違いでした。正確には次のとおり。意味はだいたいそんなところです。 「謀を帷幄(いあく)の中にめぐらし、勝つことを千里の外に決す」 二千年以上も前に、漢の高祖・劉邦が軍師の張良を讃えたときの表現だそうです。天才にだけ与えられる言葉であり、凡夫には手が届きません。自分は優れていると傲る者は、帷幄で勝てると錯覚し、現場を忘れるのではないでしょうか。 「事件は会議室で起きてるんじゃない! 現場で起きてるんだ!」 『踊る大捜査線』で青島が言う有名なセリフですよね。凡人ならば的確に処するために、まずは現場に足を運び、物事を人に尋ねて、思索をめぐらすことが大事ではないでしょうか。 吉川英治は小説『宮本武蔵』をこう結びます。能力を過信すると、きっと雑魚と言われてしまいます。 ≪波にまかせて、泳ぎ上手に、雑魚は歌い雑魚は踊る。けれど、誰か知ろう、百尺下の水の心を。水の深さを≫ |