言葉にはハラスメントの力あり [2018年05月23日(Wed)]
「パワハラ」という言葉。語感が軽快だ。パワーが満ちあふれ、ハラハラドキドキのスペクタクルが経験できそうな、そんな感覚。日本語にすると「嫌がらせ」。嫌がらせ? ちと違う。相手の嫌がることをわざとやったり言ったりして困らせること、そんな生やさしいものではない。
対象を、疑心暗鬼にさせて激しく揺り動かす。痛めつけイジメる。反語的に使う「可愛がる」に近い。拷問に近い責め苦と言ってよい。「いたぶる」がふさわしい。軽いパワハラは嫌がらせと言えても、服従を伴うと悲劇である。悪い意味での体育会系のしごきはパワハラであり、「絶対服従」となる。指導と称して暴力がまかり通り、対象者をズタズタにする。 日大アメフト部の監督とコーチが選手をパワハラで誘導し、関西学院大のクオーターバックを「つぶせ」と命じた事件。悪質タックルを仕掛けた選手の昨日の会見は印象に強く残る。 記者クラブで行われたこと、日大の関係者は誰もいなかったこと。それから考えると、学生側は大学を全く信頼していない。さらに大学側はぐるになってパワハラを起こし、口をつぐむことによって大学全体がパワハラに荷担したと考えていいだろう。自学の学生を守らず、体面のみを重んじる姿は哀れである。アメフト部の廃部はおろか、大学の存立に影響を与える結果にもなりかねない。 (ミヤコワスレの花は都を忘れない。日大は東京都にある日本最大の大学。日大は学生を忘れるのか) |