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トンネルの地中深くに埋められて [2018年01月13日(Sat)]

fumihouse-2018-01-13T22_59_01-1-thumbnail2.jpg韓国映画の『トンネル』をスリラー的な怪獣映画だと思って見に行ったわたしは馬鹿だった。しかし、人命尊重と唱えることは簡単でも、葛藤を乗り越え実力を伴った実行力がなければ、お題目だけに終わることがよくわかった。そして、タラレバはない、過去を踏まえて今を生きるしかないことを思い知らされた。また、人間とはある面、怪獣以上に恐ろしいものであることを示してくれる。一昨年韓国で大ヒットした映画である。

場面は冒頭から直球だ。ガソリンスタンドで給油したスジョンは、直ちに運悪くトンネル崩落事故に巻き込まれ、生き埋めになる。

もし、ガソリンスタンドのじいさんが耳が遠くなく、指示したとおりに3万ウォン分で終わってくれて満タンにしなかったなら、あと数十秒は早くトンネルを抜け出ていたはずだ。もし、手抜き工事がなければトンネル崩落は起こっていなかったはずだ。

でも、じいさんがガソリンを満タンにして詫びのつもりで、ペットボトルの1本サービスにさらに1本を追加してくれたからこそ、生き延びる水ができた。事故直前に電話していたからこそ、手元にスマホが無事に残った。

タラレバは想像するのはたやすいが、その後に派生する千万の可能性の前には意味をなさない。ひたすら与えられた条件の中で必死にやりくりするしかないし、そこにこそ創意工夫の活路が開ける。

セウォール号の沈没事件で示された韓国で頻発する職のモラル問題、コンプライアンスに欠ける政府の対応、マスコミの利己的な卑劣さなど思い当たる節が多い。明らかに自国の有り様を風刺した内容である。

なんといっても世間のありようがズバッと刺さる。救出に何日も費やすほどに、最初はあれほど救出劇に沸騰していた世論がやがて無関心となり、救出現場で死亡事故が起こると、一人の命のために他の命を犠牲にするな!、第二トンネルの工事を延期して経済的な損失を生むなかれ!と変節する様子を笑っている(自虐の)。パニック映画としてだけでなく、人間を学ぶ機会を与えてくれる映画である。

(地底には花ひとつ咲いていない。救出された主人公はさぞや花に癒されたことであろう)
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