漆黒が明るくなって鳥を呼ぶ [2018年01月07日(Sun)]
漆黒の宵闇。午前5時、南の空に明るい星がある。そのすぐ横、淡く赤い星が並ぶ。二重星に見えるが長くは続かない。木星と火星のランデブーを下弦の月1日前の月が祝福しているかのようだ。日の出まで2時間。ほのかな明かりが少しずつ広がっていく。
空に厚くかかっていた雲はなくなった。残った上層雲に日の光が作用して茜色になる。刻一刻とグラデーションの層を広げて明るいオレンジ色に代わる。橙色が薄くなったと思ったが、日の出直前の光彩を浴びるとオレンジは再び濃くなった。 気温は1℃。手袋はしていても手が凍える。靴を通して寒さが染み足先がしびれてくる。歩く歩く。マガンのモーニング・フライトが見られるまでは我慢の子で体を暖めよう。斐伊川河口にはコハクチョウが200羽ほど。明るくなるほどにクークーとかしましくなる。カラスの群れがカアカアと河口を横切って行くが、マガンの姿は見えない。 日の出15分前の7時。とうとう30羽ほどの群れがきた。宍道湖側から赤ちゃんのような、ヒヨコのような声で合図しながらマガンたちは上流に向かって飛ぶ。次は150羽。いずれも河口には降りず、そのまま斐川平野に向かう。餌場に直行するのだろうか。 太陽が顔を出した。冬の光だが十分に眩しい光。今朝はここまでかと思っていたら、日の出後15分して細切れに100羽、30羽、50羽、100羽と次々に幾重にもやってくる。空中で分散と集合を繰り返し、河口の左岸に広がる田んぼ辺りに落ち着いた。 日の出前のオレンジ色は色褪せたが、淡いピンクは北や西空の雲を染めている。ちらりと大山が見える。西には白雪の三瓶山が見えた。日の出前には松江方面から北山山系に沿って出雲大社の辺りまで山裾を霧が連なっていたのだが、帰る頃には白い帯は上空に拡散して低い雲になっていた。この冬もマガンのモーニング・フライトを見ることができて幸せだ。県外車が7,8台。彼らも満足できただろう。 |