西洋のルネッサンスなり油絵で [2017年03月19日(Sun)]
東京富士美術館に行ってきた。『とことん見せます!富士美の西洋絵画〜日本最大級の西洋絵画コレクション、全貌公開!〜』。おっと、このキッパリしたストレートな表現。お高くとまることなく親しみやすさ満載だ。
東京富士美術館は開館から33年。イタリア・ルネサンス絵画以降、西洋の絢爛たる美術史をたどる収蔵品を誇る。その西洋絵画コレクション275点を一気に見せるのが今回の展覧会。1点1点綿密に見ていたら何日も通い詰めなくてはならない。気が向いた肖像画だけをじっくりと鑑賞した。 肖像の目に惹かれた。シュールレアリスムや現代ポップアートまでいくと違うのだが、西洋画には目の力がある。強靭さ、鋭さ、たくましさ、風格、雄大な夢、慈母の優しさなど様々に想像することが可能だ。制作者の魂魄を留めた描写が目にあらわれている。 どの絵を見ても、周囲の景色や光、調度品、衣服や顔の細部を稠密に描いてある。しかし眼の光や表情がしっかりと描かれなかったならば、それぞれの絵は完成しないのだろうと感じた。西洋絵画の人物画において、目の肥えた注文主を満足させるのは「目」なのだと思う。目は口ほどにものを言うのだから。もちろんその絵は眼が飛び出るほど高価なものだったに違いない。 (何ものにも動じない強さを感じさせる『クロザ夫人の肖像』。ジャック・アヴェとその工房により18世紀に制作されたもの) |