先生が火花を散らし連作を [2015年07月26日(Sun)]
「先生」と称される職業はけっこう多い。教師、医師(おっと師匠の「師」まで付いている)、議員を三羽がらすとすれば、その他弁護士など法曹界の面々、漫画家や作曲家などクリエーターの面々。ほかにもたくさんあるのであろう。
芥川龍之介賞(芥川賞は通称だと最近知った)を受賞した新人・又吉直樹が近頃「先生」と呼ばれるようになって、このように言っている。 「だれも本気で『先生』と思っていない。それで勘違いしたら本当の大馬鹿野郎になってしまいます」と。「勘違い」という言葉に、天狗になって鼻高々で他を見下す哀れな自惚れ屋にはなるまいと含ませているのだと思う。 シンカイさん(新明解国語辞典)の第四版では「先生」をこう定義している。なかなかいい解釈をしてくれている。 ≪[もと、相手より先に勉学した人の意] 指導者として自分が教えを受ける人。狭義では教育家・医師を指し、広義では芸術家や芸道の師匠・議員などをも含む。また、けいべつ・揶揄の意を含めて言われることが往々ある。例、「先生と言われるほどのばかでなし」≫ 純文学の『火花』で、お笑い芸人を通して人間とは何かを描いた又吉が、次作ではどんな人間模様を表現してくれるのか楽しみだ。以降も長けた作品を連発すれば、正真正銘の「先生」として尊敬を受けることは間違いない(まずは早いとこ『火花』を読まなくちゃ)。 (先生とは全く関係のない花。しばらく前に荒神谷遺跡公園の池の水際に咲いていた) |