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うまくいく絶対いくと思い切れ [2014年02月09日(Sun)]

__tn_20140209215151.jpgインド映画『きっと、うまくいく』を観た。原題は『3 idiots』。「3人のバカ」と訳すと冗談みたいだが、心震わす映画だ。そして何度も笑った。自分はランチョーのように天才ではなくても、胸を張って誠実に明るくがんばろうと思えてきた。

映画中に何度も出てくる台詞が「アール・イーズ・ヴェール(All is well.)」。なんとかなるサーという無責任な感じではなく、なんとかするぞ!と決意をにじませたこの言葉。終いには登場人物全体をこの言葉で巻き込んでプラス思考に向かわせる。

笑わせて、歌と踊りで楽しませ、哀愁のシーンで泣かせておけばよい、という半端なつくりではなく、脚本も編集も丁寧につくられていて、ムダなシーンやカットがない。長い映画だが、2時間50分を感じさせなかった。

名門エリート工科大の寮の同室となった三人組は無二の親友となった。三人はハチャメチャなことをしでかして、真面目一方の学長からにらまれていた。学長の教育法は、服従と暗記ばかりで独創性はなく周囲は敵だと思わせる競争主義に凝り固まっていた。三人は無体な抵抗をしたのではなく、学生を大切にし理にかなう教育が当然だ、と真っ当なことを主張しているのであるが、学長と一派は三人を目の敵にする。

三人の友情を分断しようと画策する学長。親友の二人がランチョーに関し、「親友が落第すると思うと心が痛む、親友がトップだと聞くともっと心が痛む」と言った。これもまた真実であり、そうした葛藤を越えて友情は育つのであろう。ランチョーは親友と共に楽しみ笑い、親友と同苦しながらも、自由に楽天的に取り組み、学業も首席を保っていた。

インドの山岳地帯の美しい空。厳しく切り立った山に広がる湖は空のように青い。その景色のように美しいヒロインは眼鏡の美女ピア。ランチョーとピアは対立する関係から始まったが、ランチョーの口をついて出た詩。恋するときに風が吹く云々の詩の一節のとおり、ピアはランチョーに愛を感じ、彼も彼女を想うようになった。二人の愛は順調に発展するように思われたが、卒業してから彼は行方をくらます。

10年後、親友の二人は消えたランチョーの謎を追う。同時に、心ならずも不本意な結婚をさせられようとしていたピアを、なんとしてでもランチョーに添い遂げさせたいと二人は計画し大奮闘する。映画『卒業』のような花嫁の逃走劇の結果、ランチョーとピアのラブストーリーは完結し、さらに大きな結末が待っていた。この爽快さといったらない。嬉しくて楽しくて笑顔が止まらなかった。

血沸き肉踊る映画だった。二回目を見たならば一緒に踊り出してしまうかもしれない。打算のない真の友情とは何か、世間に迎合するだけの結婚や就職に幸福はあるのか、人を蹴落として得る競争社会の幸福に意味はあるのか……。底抜けの明るさと不屈の精神で乗り越えたヒューマンドラマに、改めて喝采を送りたい。
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