• もっと見る

チャレンジドの「地域で生きる」を考える

このブログは、スウェーデンのニイリエが障害者の地域生活の在り方について分かりやすく示した「ノーマライゼーション八つの原則」の考え方を基本的な理念として、チャレンジド(※)の地域での普通の生活がごく当たり前になり、共生社会が実現することを目指した具体的な行動や行事・事業・研修・提案・要望等の活動について、福市繁幸が(社会福祉士・精神保健福祉士・NPO佐賀県地域生活支援ネットワーク代表理事、佐賀県肢体不自由児者父母の会連合会会長の立場で)記録しています。
年間行事の「チャレンジドフォーラム」「サービス管理責任者・児童発達支援管理責任者研修(基礎・実践・更新)」についても案内しています。
※チャレンジド=障害者を表す米語。障害者・難病の方々・自閉症/発達障害など地域生活をするにあたり様々な挑戦をする機会が与えられた選ばれた人たちの意。


<< 2025年03月 >>
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31          
カテゴリアーカイブ
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
祭り終了 (02/25)
特別支援学校における通学支援 [2009年06月24日(Wed)]
大分の特別支援学校に見学に行った。

「百聞は一見に如かず」はここでも実感することとなった。
私の知るところでは、通学バスの運営には1台あたり年間約1千万円というのが相場であった。ところが、である。
大分は、福岡のビルメンテナンス会社など、バス運転手のOBが再就職した会社が受託し、年間300万円で通学支援を実施していた。ヘルパー経験のある添乗員の人件費(ビルメンテナンスが雇用)や年間20回の校外学習やPTA行事にも使えるように条件をつけられていた。バスは宝くじの収益金を活用したものだ。

佐賀の場合、春日園と金立特別支援学校、くろかみ学園と伊万里特別支援学校の間だけ各1台バスが出されているが、この予算があれば1校当たり2台のバスで巡回が可能である。今、毎日通学を支援している母親に支給しているガソリン代もその財源としてよい。

バスに乗り込む子供たちの笑顔がすばらしかった。「みんなと通学たのしか?」と聞くと「うん。先生も一緒に行くと?」と聞かれてしまった。みんな乗車したところで3時30分過ぎだったと思うが、校長先生も含め先生が全員お見送りのため玄関に出てこられ、一斉に手を振って「またあしたねー」「ばいばーーい」とほほえましい光景だった。歩いて帰る児童、路線バスで帰る児童、リハビリ等のため事業所のバスで帰る児童と本人の自宅のある場所や都合や能力に合わせて色々である。

佐賀県では「通学支援」は寄宿舎の運営を意味する。
しかし、他県ではほとんどの特別支援学校が通学バスやタクシーを走らせることで「通学支援」を実施している。
地域で生活する力を身につけるように教育するのが特別支援学校だと信じているが、寄宿舎は健常児では考えられないくらい早く母子分離をしてしまい、卒業後は入所施設へまっしぐらという環境を、本人にも、親たちにも与えてしまうのである。寄宿舎が特別支援学校の教育になじむことは、ノーマライゼーションを進める現代においては、もはやない。

「地域で生きる」ためには、健常児同様、高校生までは親の愛情に包まれて育ち、高校卒業と同時に独立していく普通の生活を根本から支えることが特別支援学校のもっとも重要な役割だと思う。

県の各地域に特別支援学校が配置された今、通学支援のメインは通学バスやタクシーによる住み慣れた自宅からの日々の通学を支援することにシフトすべきだ。みんなそうして大きくなったはずだ。なぜ障害があるだけで寄宿舎で母子分離になってしまうのか。

自宅から路線バスを利用して通える児童は、バス会社にも協力を要請し、可能な限りそれができるようになるまで支援するのが教育だ。歩ける距離に自宅があるなら、児童が歩く可能性のある道の沿線の住民の方々には声をかけておいて自分で通わせるのが教育だ。そうすることで、障害者のことがみんなに知られることになる。障害者理解も進むというものだ。

「地域で生きる」ように教育して欲しい。
養護学校の放課後と長期休暇 [2009年06月07日(Sun)]
養護学校の放課後や長期休暇のすごし方については、健常児同様、共働きやひとり親の家庭にとっては、大きな問題だ。

大分県の養護学校におじゃまして通学バスや放課後、長期休暇の取り組みについて教えていただいた。

通学バスについては後ほど、たっぷり述べるとして、夏休みの長期休暇については、保護者の強い要望を受けて、夏休み10日間ほど短縮し8月のみの1ヶ月にしたそうだ。夏休み期間の短縮は学校の判断で長短あるとのこと。また、先生の研修等は1ヶ月あれば十分とのことだった。
さらに、行政で長期休暇のためのタイムケア事業の予算を確保し、福祉事業者が学校の施設を使って児童生徒の日中支援を実施することについても、学校として積極的に認め使用許可を出しているそうだ。
共働きやひとり親の保護者にとっては、長期休暇についても、夏休みの特別授業あり、通いなれた学校でのタイムケアありで大助かりだろう。普通高校での夏季教室と同じものだ。

行政の縦割りの弊害がさけばれているなか、大分県では、すばらしい行政の連携ができあがっている。

先生を除くすべての社会人の世界では、40日間の全員同時の「研修期間」がむしろ異様だ。この夏休みについて、子供たちの過ごす場をつくろうとあの手この手で保護者が地域でさまざまな企画をし、協力を依頼すると必ず帰ってくる答えが先生の「研修」だ。協力はしてくれるが、「協力」でしかない。一般県民からみると、公務員の姿勢や物事のあり方に対する方向感が一般県民と違ったりずれていると非常に気になってくるものだ。

健常児同様、養護学校に通う児童生徒にも(いや、むしろ健常児以上に日常の生活ペースが乱れるのを避けるためにも)、「夏休み」はその希望により学校に通えるように工夫すべきである。それが、公務員の仕事だ。と僕は思う。

理解する人がいても、足をひっぱる人がいたら、その集団は全体がつまらない集団として一般市民の目にやきつく。せっかくがんばっているのにもったいないことはなはだしい。特別支援学校には、理解できる人が先導して、よりよい教育を目指してがんばってほしい。

6月20日に放送されたサタズバで紹介された京都の特別支援学校では、特別支援学校の中に就労支援のためのパン屋さんを設置し、近所の人とのふれあいを通して働く意味を教えていた。これは、先生が、生徒にすすめる前に職場体験を実施し、経験に基づきコーディネートするという当たり前のことを実践することからスタートしていた。気づいた人がその信念に基づいてやれることから行動できる集団に、特別支援学校は是非なってほしい。
プロフィール

福市繁幸さんの画像
リンク集
https://blog.canpan.info/fukuichi/index1_0.rdf
https://blog.canpan.info/fukuichi/index2_0.xml