こんにちは。スタッフの水原です。
サポセンは
「せんだい・みやぎソーシャルハブ」とともに、社会課題解決のプラットフォームをつくっています。せんだい・みやぎソーシャルハブとは、市民目線で気づいた社会課題に対し、NPO、行政、企業、志のある個人など多様な主体が力を合わせ、課題解決のために力を発揮する環境をつくることを目的とした場です。
取り組みの一つ、「情報交換会(セッション)」は、サポセンと共催で月1回ほど開催しており、毎回まちづくりの多様な主体が集まります。
【note】レポート公開中!せんだい・みやぎソーシャルハブ情報交換会今年度は、誰もが当事者になり得る
「防災と自治」をテーマに、一人ひとりが力を寄せ合い、さらなるネットワークの強化と新たなつながりを育みたいと考えています。
8月22日(木)は、
「自治会活動は無理ゲー?あすと長町から新たな地域運営を考える」と題し、あすと長町を拠点に「新たな地域運営」を推進する
認定NPO法人つながりデザインセンター副代表理事の新井信幸さんをお招きして情報交換会を開きました。
▲会場20名、オンライン13名の方々にご参加いただきました。
▲これまでの活動やこれからの地域運営について話す新井さん
■認定NPO法人つながりデザインセンター(以下、つなセン)の取り組みつなセンは、東日本大震災後に「あすと長町」「塩釜市内4地区」の災害公営・仮設住宅で自治運営や孤立を防ぐ居場所づくりに取り組んできた団体です。
被災地のコミュニティの現状として、仮設住宅から災害公営住宅への移行後には見守りがなくなるため住民が孤立。孤独死の危険が高まる一方、自治組織は高齢化により担い手不足などにより、身近なつながりや共助が築けない状況も珍しくありません。被災地に限った話ではありませんが、自治組織が消滅する災害公営住宅も出ていることから、自治会活動は「無理ゲー」であるとし、この日の情報交換会がスタートしました。
■自治会活動は無理ゲー?“無理ゲー”とは、実現が困難な物事の例えとして使わる言葉で「攻略不可能なゲーム」を意味します。では、自治組織をどう運営すれば良いのでしょうか?
つなセンが支援してきた、塩竃市の清水沢東住宅、あすと長町第2市営住宅(災害公営住宅)の事例から深堀りしていきました。
■「自治組織の役割のスリム化」と「孤立を防ぐ居場所づくり」とは?清水沢東住宅では、公営住宅の共用部分にかかる費用や負担を請け負うための管理組織とすることで「自治組織の役割のスリム化」を実践。公営住宅の維持管理費を支払うことに抵抗は出ず、自治組織加入率がほぼ100%になりました。
あすと長町第2市営住宅では、「孤立を防ぐ居場所づくり」として公営住宅の共有空間である集会所の活用に力を入れました。
ハード面での課題は、中の見えない鉄の扉、靴を脱がないとあがれない床、電気容量もキッチンも小さい等です。これを、室内がエントランスから見えるように扉を透明にし、靴のまま入れるようにしました。電気容量も大きくしました。
ソフト面では、集会所の利用を住民以外にも開放し「みんなの居場所」と名付けました。日々の管理から交流の機会づくりまで自治会が担うには負担がかかりますが、外部の様々なサークル活動が集会所を賑やかにしてくれるため、自治会は鍵の貸出など管理だけを担えば良くなりました。
外部団体には、集会所を有料で貸し出すことにし、使用料を集会所の運営費に充てることができるようになりました。集会所を使っても使わなくても、住民たちにとって不公平にならないようにするためです。また、集会所の予約状況、どんなサークル活動があるかを発信することで、住民たちによる活動をしやすくしたり、拠り所となるつながりを探しやすくすることも大切にしています。
■新たな地域運営に向かう新井さんは、地域コミュニティには2つの「縁」があると言います。
一つは近所づきあいや自治組織といった昔からある「地縁」。もう一つは「選択縁」と名付けた縁で、小さなサークルや地域活動などを自由に選ぶことができる縁です。この二つの縁を上手く混ぜることで、「つながり」から取りこぼされる人を減らし、生活の質も高められると言います。新井さんは、大きなコミュニティをつくり「みんなで」支え合う従来のしくみではなく、小さなコミュニティがブドウの房のようにつながり、支え合う地域運営の在り方を「新たな地域運営」として提案しました。
■質疑応答と意見交換※Qは参加者からあがった質問、Aは新井さんからの回答Q:コミュニティづくりは都市部と地方の違いがありますか?
A:地域に活動者がいなくても外部の活動者が入ればいいし、月1回の活動なら負担も少ないのではないでしょうか。
Q:あすと長町では、民生員との連携はどうしていますか?
A:年に一度、民生委員、自治会長や支援団体、社会福祉協議会なども入って孤立している住民の情報交換をしています。個別訪問は効果的な面もある一方で、居留守をされることもある。これは「北風と太陽」でいうところ「北風」のようになってしまう面もある。私たちとしては「太陽」のように、自ら外出してもらうことを重視しています。
Q:仙台に転入してきて1年目です。自治組織とつながっていないので災害時が不安です。
A:東日本大震災の時に、賃貸の集合住宅の住民が知らない者同士、お互いに助け合っている姿を見ていた為、防災のためのコミュニティづくりは考えなくてもいいのではないか。
逆に、皆で一緒に避難して全員津波の被害に遭うといったケースもあったため、どうやったらコミュニティが方向性を間違えずに災害時に機能できるかを知りたいです。
等、多くの質問があり、新井さんに回答いただきました。
この後、「防災と新たな地域運営の関連性」について話し合う予定でしたが、残念ながら時間切れとなってしまいました。しかし、質疑応答で「自治組織とつながっていないので災害時が不安です」との質問があがり、新井さんから「防災と自治」の考えが引き出されました。新井さんからの回答は「どうやったらコミュニティが方向性を間違えずに災害時に機能できるかを知りたい」と、参加者への問いかけがあったことは、次につながる収穫になりました。
後日、有志による勉強会を開き、さらに議論を深めました!→
自分に合ったコミュニティを選択して暮らす<これからの地域運営を考える勉強会>せんだい・みやぎソーシャルハブ意見交換の内容を含め、詳しい報告は、
せんだい・みやぎソーシャルハブのnoteにてご確認ください!