2022年11月07日(Mon)
年をとっても、認知症になっても「楽しく生きるとは?」<一般社団法人ひときたしゃべる主催イベント>に参加してきました!
こんにちは。スタッフの水原です。 10月15日(土)に、一般社団法人ひときたしゃべる主催イベント、「これまでの私。今の私。−あなたは一人じゃないー」と名付けられた講演会に参加してきました。会場はサポセンでした。 ひときたしゃべるの拠点は仙台市太白区生出(おいで)地区にある人来田(ひときた)町内会です。シニアの得意な手しごとを活かし、子どもからおばあちゃん、おじいちゃんまであらゆる人と人とが繋がる場、学ぶ場づくりをしています。今回の講演会は、子どもから高齢者まで、誰もが尊厳をもちながら、楽しく笑顔で生(活)きることができる社会につなげたいと願い企画したそうです。 登壇したのは、次の5名の皆さん。 丹野 智文さん(おれんじドア) 中村 雄美子さん(ヴァンダール中村) 黒松 慶樹さん(有限会社えるだー:訪問介護、小規模多機能型居宅介護) 阿邊 里恵さん(一般社団法人ひときたしゃべる) 加藤 忠相さん(株式会社あおいけあ:高齢者向け福祉サービス、グループホーム・小規模多機能型居宅介護) ▲写真左から、丹野さん、加藤さん、黒松さん、阿邊さん。中村さんはオンラインからの参加でした。 〜認知症当事者の「自分で決める」を尊重するということ〜 丹野さんは、仙台市を拠点に認知症当事者の相談の場づくりをしている「おれんじドア実行委員会」代表。38歳の時に若年性認知症と診断され、2年で寝たきり状態になると診断されました。「妻がいる、小さな子どももいるのに、会社をクビになるわけにはいかない」という恐怖。クビにならなかったけれど、「お情けで仕事をすることになるのでは?」との葛藤。その不安を乗り越えられたのは、自分より先に認知症と診断された人との出会いがあったからだそうです。元気で明るく穏やかだったその人を見て「自分も、こんな人になりたい」との思いが現在の活動につながりました。認知症と診断された人とその家族が、元気な認知症当事者と出会える場として「おれんじドア」は設立されたそうです。 現在、丹野さんは認知症と診断されてから9年が経過。日本全国の認知症の人や家族を元気にしようと、47都道府県すべての地で講演をされ、現在も仕事をつづけながら認知症支援活動をされています。また、丹野さんは「認知症当事者の『自分で決める』を応援してくれる支援者が増えて欲しい!」と話していました。 そして、丹野さんにつづき登壇されたゲストの皆さんは、丹野さんの願いである「認知症当事者が『自分で決める』」に寄り添おうと活動している皆さんでした。 〜認知症の人や高齢者が笑顔でいられる取り組みとは〜 千葉県流山市にある「ヴァンダール中村」は、元々は中村さんのお母さんが営む学生服専門店。現在は、高齢者や障がい者に「体型や生活スタイルの変化に合わせた服で毎日のおしゃれを楽しんでもらいたい」と、服づくりに取り組んでいます。この取り組みをはじめたのは、中村さんのお母さんが認知症になったことがきっかけでした。日々、もの忘れしていく自分に落ち込むお母さんが笑顔を取り戻したのは、自身の洋裁・和裁の腕を活かし洋服づくり。体で覚えた技術は忘れず、困っている人のための取り組みになったと、イベントでお話をされていました。 島根県出雲市にある「有限会社えるだー」の黒松さんは、「自分がされて嫌なことは利用者にもしたくない」と、自身が管理することになった高齢者施設の改革をはじめました。施設が利用者を管理するためのサービスから、利用者の希望が優先されるサービスへ変えていく中で、多くの職員たちが反発し離れていったそうです。しかし、やがて思いを同じくする仲間ができ、現在HPでは「えるだーでは、お一人お一人の笑顔とやる気を大事にしています」と広報されています。 神奈川県藤沢市にある、株式会社あおいけあ、の加藤さんはテーブルとイスがある空間の写真を見せて、「この高齢者施設の空間を皆さんどう思いますか?」と問いかけます。「利用者は、ここに7時間いるんですよ。もし、じっとしているのが嫌だと言うと『帰宅願望』と言われる、うろうろ歩き回ると『徘徊』言われる。いやいや、この固い椅子にじっと座っていられない、それ普通ですよね?」と訴え、「『自分だったらどうありたい』を考えない人が多い『支援と支配は違う』」と話してくれました。 また、認知症当事者について話したことで、「当事者ってどこにいるのでしょうか?本当は私たち皆が当事者なのでは?私が90歳になれば同年代では認知症の方がマジョリティーになる。『認知症の人』は他人ではなく自分自身のことだと思っている」と話していました。 「介護を必要としない人を増やしたい」と地域で活動している一般社団法人ひときたしゃべるの阿邊さんが、今回のイベントを企画したことを通して、高齢者や障がい者、認知症の人を支援するということはどういうことなのか?自分ごととして捉えて欲しいという思いが伝わってきました。私も参加者として「高齢者になることに不安を持たなくても良いのかもしれない、、」と思うことができました。 最後には、参加者の皆さんからの質問にゲストの皆さんが答え、和やかにイベントが閉幕となりました。 皆で “しゃべる” ことで、つながりができたり、目標を持ったり、不安が解消したりする。そんな場を、ひときたしゃべるではつくっています。 ひときたしゃべるの活動に興味がある方は、こちらをご覧ください ⇒一般社団法人ひときたしゃべる HP ⇒一般社団法人ひときたしゃべる Twitter |