仙台市太白区の地下鉄南北線長町一丁目駅から南西に徒歩5分のところに、「caféおりざ」がある。花に囲まれたカントリー風の緑の扉を開けると、木のぬくもりを感じる店内でにこやかな笑顔の佐藤宏美さん(54)が迎えてくれる。
このカフェをつくったのは、佐藤さんが理事長を務めるNPO法人「おりざの家」。「おりざ」はラテン語で「稲」。特に玄米の素晴らしさを知ってほしい、という思いを込めた。
玄米の美味しい炊き方、旬の野菜を使った献立、行事食の意味など、昔からの知恵が詰まった自然食講座を定期的に開催している。「体の事を考えて、食事を選んで欲しい。食生活が整えば、心に余裕が出来る。体と心を健康にすることで、家族の仲も良くなれば」と話し、希望があれば家族カウンセリングなど心のサポートも行う。
佐藤さんが活動を始めるきっかけは、32歳の時に感じた体調不良。本で学んだ自然食を試したところ、少しずつ体調が回復。食の大切さを伝えたいと自宅で小さな教室を始め、2013年にNPO法人化、現在のカフェを拠点とし活動を続けている。
原動力は参加者の変化。「自宅で作ったものを持ってきてくれたり、教室で教わった事を家庭で活かしてくれていることが何よりも嬉しい」と笑みを浮かべる。
現在カフェ運営を休業し、今年9月から始める「おりざの食卓」という事業の準備に力を入れている。一人で食事を摂る「孤食」の人に、無料で食事を提供するもので、貧困と言われる子どもだけでなく、共働き親の子どもや高齢者まで、対象を幅広くするのが特徴だ。カフェ隣の2DKのアパートを借り、家庭的でぬくもりある食卓を目指す。「季節ごとに日本の伝統料理を一緒に作ることや、食事の準備を手伝うことで、子ども達に日本の食文化や生活の知恵を学んで欲しい」と話す。週1回開催予定だが、「将来的には毎日にして、子どもの居場所をつくりたい」と佐藤さんの夢は膨らむ。8月11日(祝・木)に見学会を行う。
問合せは022(249)1625まで。
(仙台市青葉区 黒川夕紀)

▲店内であたたかく迎えてくれる佐藤さん