こんにちは。スタッフの松村です。
サポセンでは、市民ライター講座を修了した市民ライターのみなさんと連携し、「書くこと」「伝えること」を通じて市民活動やまちづくりを応援しています。
今回は、市民ライターの平塚千絵さんと一緒に、仙台市が行った「青葉通仙台駅前エリア社会実験」に行ってきました。期間中、さまざまなプログラムが行われましたが、平塚さんが取材先として選んだのは「青葉通でたき火を囲む対話や空気を楽しむコミュニティ」というプログラムです。行った人も、行かなかった人も、ぜひ平塚さんの取材・体験レポートで現場の雰囲気をお楽しみください。
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仙台駅前でのたき火体験から、街づくりを考える こんにちは。市民ライターの平塚千絵です。
突然ですがみなさんは「たき火」という言葉からどのようなイメージを思い浮かべますか?
山や海など自然豊かな場所で火を囲む情景ではないでしょうか。
ところが先日、仙台駅前でたき火にあたるという前代未聞の体験をしました。場所はペデストリアンデッキを降りてすぐの青葉通の路上、仙台駅に向かって車が多く行きかう場所です。普段の仙台駅前をご存じのかたであれば信じがたい状況かと思います。
どのような様子だったか、一体、誰がなぜ企画したのでしょうか。取材に行ってきました。
想像がつかない
仙台駅前でのたき火にドキドキしながら会場へ行ってみると…イベントは、仙台市が行う
青葉通仙台駅前エリア社会実験の一環として、2022年9月23日(金)から10月10日(月)の期間中の雨天時を除く毎日、19時から21時までの間行われました。

▲社会実験エリア全体。仙台駅を背にペデストリアンデッキから青葉通りを見下ろすと、いつもとは違う景色が広がっていました。

取材に伺ったのは10月4日の19時頃。
私は、「仙台たき火ティー」という看板の前で、焚き火に近づくタイミングをつかめず、緊張し立ち尽くしていました。すると白いTシャツを着たスタッフが「どうぞ」とたき火の輪の中に連れて行ってくれました。Tシャツのバックプリントには可愛いたき火のイラストと「ちょっと、座ってく?」の文字が。そのおかげで緊張が和らいだ上、心が和みました。

輪に入るとすでに10名ほどの人がたき火を囲み、にぎやかに話す声が聞こえてきます。
学生風の人など若者が多いと思いきや、時間の経過とともにスーツ姿の年配の人たちもやってきました。居合わせた人と話して盛り上がっている人、たき火の炎をじっと見つめている人、それぞれが思い思いに過ごしている姿が印象的でした。
主催者の仙台たき火ティーとは?主催するのは、「
仙台たき火ティー」です。
当日は、火守と呼ばれる運営メンバー5~6名ほどの姿がありました。代表の大石豊さんがたき火に薪をくべるなど火を調整。他の火守たちが、たき火の輪の外で非常事態に備えて火を見守る一方で、興味を持って近付いて来た人に声をかけ、たき火の輪の中にスムーズに入れるように気を配っていました。

▲代表の大石豊さん(写真左端)と火を囲む人たち
大石さんにお話を伺いました。
仙台たき火ティーは、2021年11月にスタートした
Facebook上の公開グループです。現在メンバーは470名ほど、社会実験に関わる運営メンバーは14〜15名ほどで、普段は週末などに仙台市郊外でたき火を行っています。
当初は大石さんが「日常に疲れていた時、自然の中で癒されたい」という想いで、仲間を誘い、週末にたき火をしていました。毎週末たき火を囲んでいる内に仲間が仲間を呼び、多くの人が集うようになりました。
回数を重ねるうちに大石さんは、たき火を囲み対話が生まれる空間に魅力を感じるようになったそうです。「たき火を囲むことでリラックスし、心が緩んだ状態で対話が生まれ、人と人との関係が円滑になる。そのような空間を多くの人と共有し、広げていきたい」という想いでFacebookグループを立ち上げ、ほぼ毎週たき火を続けています。グループ名「仙台たき火ティー」の由来も「たき火」と「コミュニティー」を掛け合わせたそうで、大石さんの想いが込められています。
青葉通仙台駅前エリア社会実験参加のきっかけは、春先に出版された「ことばの焚き火」という書籍への共感から、友人でもあった著者と同書を囲んだ対話を目的に、仙台市内中心部でのたき火開催を画策したことでした。2022年5月に地下鉄東西線国際センター駅にある公共施設「
青葉の風テラス」で開催したイベント「仙台たき火ティー『街の焚き火場』」内で、焚き火を実施したことがこの社会実験を主催する仙台市都市整備局都心まちづくり課の目に留まり、実現への第一歩となりました。
前代未聞の仙台駅前でのたき火、参加者の反応は?
そして私の感想駅前の通りは普段、通り沿いのお店に入るとき以外は通り過ぎる場所ですが、大石さんにお話を伺っている間も、たき火に引き寄せられた人たちがひっきりなしにやってきます。駅前でのたき火の常連になった人も多いようで、「また来ました」と声をかける人もいました。

参加者からの感想ボードには「沁みます」「ホッとする」「平和なひとときでした」「初めて来た仙台でこのイベントが印象に残ったので私の中では“仙台=たき火の街”になりました(笑)」などの書き込みが見られました。それぞれが特別なひと時を過ごしたことがうかがえました。
私自身も、取材中にもかかわらず、たき火の炎に見入ってしまい、現実を忘れそうになってしまいました。記事掲載用の写真撮影では、居合わせた参加者たちが快く協力してくれたり、たき火ティースタッフと雑談したりと人の温かさと優しさに触れることができました。普段は初対面の方と話すのは緊張する私ですが、たき火で緩んだ雰囲気だったせいか言葉が自然に出て来て自分でも驚きました。
社会実験から感じたこと私は「仙台たき火ティー」を入口に、で青葉通駅前エリア社会実験に参加しました。たき火をきっかけに自然に人が集まり、笑顔と共にコミュニケーションが生まれる場面を目の当たりにしました。
そうした光景を見て、生き生きとした街は、人が行き交い・集う場所から生まれるのではないか、住民一人一人が作っていくものなのではないかと感じました。街づくりについて、今までは行政や大企業など大きな組織任せでしたが、今回の社会実験で街づくりを自分ごととして捉えられた気がしました。

▲大石さん(左端)と筆者(右端)
(写真提供:仙台たき火ティー)
市民ライター 平塚千絵
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仙台たき火ティー
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