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サポセン@仙台
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2018年03月12日(Mon) 地域の今を映す市民の情報発信<地域メディア公開編集会議>マチノワWEEK vol.2


こんにちは。スタッフの松村です。
2月25日(日)市民活動シアターで「誰かの小さな物語から生まれる共感の輪ー地域メディア公開編集会議ー」を開催しました。地域メディアや地域の情報発信に関心のある方々、市民ライターやマスメディアの方など17人が集いました。

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サポセンでは、2014年から「社会のために何かしたい」「書くこと、情報発信を通じて地域で活動したい」という方々を対象に、市民ライター講座を実施したり、実際に市民活動団体を取材する現場につないだりと、さまざまな事業をしてきました。
2017年で講座の卒業生は87人。そのうち20人前後が、市民の目線で地域の魅力や社会の課題、課題解決に奮闘する市民活動団体について、情報発信するなど活躍しています。

「町内の夏祭りが復活したこと」「被災地で愛されるキャラクターのこと」「子育て中の悩みや楽しさ」「親の介護の体験談」など。個というミクロから発信される情報は、今を映す鏡のようです。情報発信されたその先で、どんなことが生まれているのでしょう。
今回は、仙台で活動する地域メディアの作り手のみなさんと、地域メディアに参加する市民のみなさんにお話を伺いました。また、それぞれのメディアの活動紹介と、3つのトークテーマを参加者を交えて意見交換をしました。

◆仙台の地域メディア
まず、仙台にはどんな地域メディアがあるのか。
5団体に来ていただき、活動について紹介していただきました。

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△河北新報社「あらっE!」プロジェクト、プロデューサーの畠山茂陽さん

震災後、新旧住民が混在する若林区の七郷・荒井地区の新たなまちづくりに向け、地元紙・河北新報社が2015年に「荒井プロジェクト」を発足しました。
住民や、仕事・レジャーで訪れる人を対象に荒井の魅力を発信しようと、ミニコミ誌「あらっE!」を発行しています。今では、読み手である住民の短歌コーナーや写真作品の発表コーナーができたり、新たな地域との関わりが生まれています。

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△ウェブマガジン「SEN.」の高野明子さん

仙台の文化の点を線でつなぐカルチャーマガジン。
仙台の個性溢れる文化を、仙台に暮らす人たちが伝えていく場やメディアを企画、編集し、シビックプライドを醸成しようと活動しています。仲間とできる範囲でゆるやかに活動するのがポイント。
ショートエッセイという方法で発信される情報から、仙台で暮らす文化的視点を持つ人たちの存在浮かび上がってきます。

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△東北のニュースを配信する「TOHOKU360」編集長の安藤歩美さん

元新聞社勤務の2人が2016年2月に立ち上げました。日本初のVR動画に特化したニュースサイトで、記者経験のない住民を「通信員」に養成。全国の地域(現場)住民が日々の中で心動かされた出来事を「ニュース」として、世界に発信するネットワークをつくっています。
「東北には、まだ全国に知られていない多くの素晴らしいニュースが埋もれてる」。全国に発信者を増やし、従来のマスメディアでは拾いきれなかった「報道」「ニュース」の、新しく多様な世界を広げようとしています。

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△泉区の地域メディア「is media by SELVA」を運営する、
セルバ事業所営業販促チームの吉田久美子さん(右)と、記事を投稿している泉区の「きゅう」さん(ハンドルネーム)

仙台市泉区にある複合商業施設SELVAが運営するウェブメディアです。
周辺地域に住むお客さんが「エディター」という情報の発信者となり、泉区に暮らす人に向け、店舗情報だけでなく自分のスキルや経験を活かした暮らしの情報を発信しています。

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△主に映像でローカルな情報発信を支援するNPO法人メディア―ジの漆田義孝さん

東日本大震災発災当時、マスメディアだけでは伝えられない情報がある。と、発信の担い手として情報発信支援をはじめたのが活動のきっかけ。仙台の学生たちと、被災地や東北、政治などに関心を持ってもらうためのコンテンツを展開。学生たちの自由な発想で発信される内容に、会場が笑いに包まれました。


◆トークディスカッション
どんな課題意識で地域メディアを立ち上げ発信しているのか、またどのような手法・表現で発信しているのか、最後にどうしたら「伝える」活動に関わることができるのか。3つのトークテーマで意見を交わしました。

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全体のファシリテーションを漆田さんが、一部トークテーマでは高野さんがファシリテーターをを務めてくださいました。

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共感度の向上と地域愛を育むという「あらっE!」の活動目的や、VR動画によって被災地などの取材現場を、世界中の人に身近に感じてもらうTOHOKU360の手法についてお話があったり、

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それらに対し、最近SEN.で活動を始めたという参加者から、「発信者と受信者の接点を生み出すという地域メディアの可能性を感じた」という感想があったり、参加者のみなさんと活発な意見交換をすることができました。

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地域メディアへの関わり方というテーマでは、is mediaのエディターきゅうさんの参加動機が話題に。
is mediaには、「料理」「おしゃれ」「子育て」などの記事カテゴリがあります。もともと書くことは好きだったとのことですが、「私は料理がうまいわけでも、おしゃれなわけでもない。でも子育てはしていたので、それだったらできるかも」とはじめてみたというきゅうさん。
ネットメディアによくある「コメント欄」もないことが、誰でも臆することなくマイペースに続ける秘訣になっているようです。
コメントは寄せられませんが、続けていくうちに読者からのファンレターが届いたというエピソードも。「まさか読んでいる人がいたなんて!」と、やりがいを話してくださいました。

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また参加者からは、「そもそもなぜ商業施設が地域メディアを?」をいう質問も。「SELVAのような駅前の複合商業施設は、都市計画の一部として設置されることがほとんどなんです」と吉田さん。街に単独で存在するのではなく、まちづくりを担い手として機能することが存在意義であることを教えてくれました。

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さらに、メディア―ジのサイトをよく覗くという参加者から、「市民目線で発信する情報、地域メディアという小さなメディアが発信する情報について、受信した市民が意見を言ったり、情報の確かさを求めたり、どこまでつっこんで関わって良いものか…」という疑問も投げかけられました。
発信者と受信者の距離が近く、相互に作用することでさまざまなことが生まれる「面白さ」の一方で、両者がどう関わって良くしていけばいいのか。今後につながる大事な宿題を得ることもできました。

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交流会では、TOHOKU360が「通信員」を育成するために開くニューススールに申し込む人がいたり、「自分の活動を取材してみないか」と、熱心に話し込む人がいたりと、次のアクションに繋がる方々もいました。

複雑化、多様化する社会において、市民が自らが「伝える」ことで、拾い上げられ見えるようになった小さな声、物語、ニュース…。それは、他の誰かの、他の地域の、他の国の人たちも共感できるような、普遍的な面を持っています。
誰もが情報発信できる時代、小さな物語を切り取り発信することは誰にでもできます。誰かが発信した小さな物語や声が、少しずつ共感を集め、仲間に、地域に広がり、社会を動かす力になるかもしれません。
サポセンでは、これからも「社会のために何かしたい」「書くこと、情報発信を通じて地域で活動したい」という方々、地域メディアの活動を応援していきます。
情報提供いただいた地域メディアの皆さま、ご参加くださった皆さま、ありがとうございました。