日露首脳会談 in サハリン [2009年02月19日(Thu)]
この人の「跳ね上がり外交」が心配だ。 「Change! Yes, we can.」 朝日新聞と産経新聞は立場が対極的であるとされる。 その今朝の社説が、ほとんど一致している。 昨日サハリンで行われた日露首脳会談についてである。 メドヴェージェフ大統領は、「新たな、独創的で、 型はまらないアプローチの下で作業を行うこと」と述べ、 麻生首相と一致したとされる。 この「新たな、独創的で、型はまらないアプローチ」は どういうことを意味すると首相が受け取ったのか 早急に説明を求めたい。 より問題なのは、会談後総理が 記者団に語った内容についてだ。 「向こうは2島、こっちは4島では進展しない。 政治家で決断する以外に方法はない」と総理は語った。 これについて朝日は、 「大統領の意欲に応えたつもりかもしれないが、 日本の基本的な主張を変更するようにも 受け取られかねない。乱暴な物言いは かえって領土問題をこじれさせる。 外交の発言にはもっと注意してもらいたい」 と厳しい。 一方、産経は、 「これは日本がこれまでに主張してきた <4島返還>という原則を転換するものと 受け取られかねず、極めて問題が多いと 指摘せざるを得ない」。 こういう発言は、 「双方は、この問題を歴史的・法的事実に立脚し、 両国の間で合意の上作成された諸文書及び法と正義の原則を 基礎として解決することにより、 平和条約を早期に締結するよう交渉を継続し、 もって両国間の関係を完全に正常化すべきことに合意する」 とした「東京宣言」(1993年)の成果をないがしろにし、 日本国民は悲願を放棄しうるという誤ったメッセージを 送ることになる。 この人の軽さは、 <「歯舞、色丹の日本返還、国後、択捉の共同開発」で 日ロ平和条約の締結>などという一見、 耳ざわりのよさそうな ロシアン・マジックに引っ掛かりそうで、心配だったが、 まさか、首脳会談で記者会見と同じようなことを 述べたのではないと信じたい。 この案に唯一、賛同できるなら、 <4島の主権を日本に返還した上で>という但し書きが 付く場合のみではないかと、私は思う。 今のロシア側の一部にあるこの主張は、 <歯舞、色丹の日本返還してやるから、 国後、択捉の開発に十分な資金を出せ。 主権はもちろんロシアだ。さあ、平和条約を結ぼう> というもので、到底、承服できるものではない。 確固たる政治基盤あっての強力な外交である。 今、日本では、特定の人が跳ね上がったような物言いが できる政治情勢にはない。 @ 両国の政治経済体制が確固とし、 A リーダーシップのある政治家ことにあたり B 国民がその政治家を信頼し、 C 世論の高まりとバックアップがあり、 D 互恵の精神に基づいた真摯な交渉があって、 領土問題ははじめて解決されるのだ。 今は、もしかしてCしかないのかもしれない。 朝日と産経が一致した社説なのだから。 |