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富士山を詠む [2008年06月19日(Thu)]









 山部赤人に限らず、古来、多くの日本人が富士を仰いでは
歌心を動かされたようです。

 西行もまた富士山に感動した歌詠みの一人。
「東の方へ修業し侍りけるに、富士の山を詠める」とあるから、
実際に富士山を仰ぎ見たに違いないでしょう。

風になびく富士の煙の空に消えて
ゆくへも知らぬわが思ひかな

いつとなき思ひは富士の煙にて
折臥す床や浮島が原

清見潟月すむ空の浮雲は
富士の高嶺の煙なりけり

『新古今集』にも富士山は何人もに詠われています。

 まず、前大僧正慈円の歌2首。

天の原富士の煙の春の色の
霞になびくあけぼのの空

世の中を心も高くいとふかな
富士の煙を身の思ひにて 

 また、家隆朝臣は、

富士のねの煙もなほぞ立ち昇る
上なきものは思ひなりけな

これは、
「世の人の及ばぬものは富士のねの 
雲居に高き思ひなりけり」という、
『拾遺集』恋四(村上天皇の作)の
本歌採りとされています。

在原業平も実際に富士山を眺めた人。

「五月の晦日に富士の山の雪白く降れるを見て詠み侍りける」と詞書して、

時知らぬ山は富士の嶺いつとてか
鹿子まだらに雪の降るらむ

「季節の変化を知らないような富士山だ、今をいつだと思っているのやら、
(五月も終るという季節なのに)鹿の子模様に
まだ雪が降り積もっている」といった意でしょうか。

 ところで、昨日、あんなにきれいな富士山を上空から眺めたというのに、
この野人には、どうにも歌心がわかないのです。

 どなたか身代わりになって、上空からの歌を詠んでくださいませんか。

 これだけは赤人も、西行もかなわなかったことですから・・・

 ★.。.:*・゜★.。.:*・゜★.。.:*・

参照:新潮日本古典集成『新古今和歌集』久保田淳校注、
西行の歌は『西行』白洲正子 新潮社版。
富士は甲斐から、駿河から [2008年06月19日(Thu)]









   昨日、6月18日、全日空機内から撮影。














     今年の元旦、山梨県八ヶ岳南麓で撮影











     同     上













     今年5月29日、新幹線富士駅付近の車内から撮影。









昨日、富士山の気分のいい写真が撮れたせいでしょうか、
にわかに富士山を読んだ和歌を紐解いてみたくなりました。

まずは、なんといっても山部赤人です。有名な、

田子の浦ゆ うち出でてみれば真白にぞ
富士の高嶺に雪は降りける

「富士の山を望る歌あわせて短歌」と題するこの短歌は、

天地の 分れし時ゆ 神さびて 高く尊き
駿河なる 富士の高嶺を
天の原 振り放け見れば 渡る日の 
影も隠らひ 照る月の 
光も見えず 白雲も
い行きはばかり 時じくぞ 雪は降りける 
語り継ぎ 言ひ継ぎ行かむ 富士の高嶺は

が本歌でその反歌として『万葉集』にある。

田子の浦というのは、今の田子の浦町ではなく、
富士川より西の蒲原・由比・倉沢のあたりの海岸のことだという。
同じ赤人には、

富士の嶺に 降り置く雪は 六月(みなつき)の
十五日(もち)に消ぬればその夜降りけり

という、古い伝承を踏まえて富士の神威の霊妙さを讃えた歌もある。

 これまた、「富士の山を詠む歌」が本歌である。

なまよみの 甲斐の国 
うち寄する 駿河の国と 
こちごちの 国のみ中ゆ
出で立てる 富士の高嶺は 
天雲の い行きはばかり 
飛ぶ鳥も 飛びも上らず
燃ゆる火を 雪もち消ちつつ
言ひも得ず 名付けも知らず
くすしくも います神かも
せの海と 名付けてあるも 
その山の 堤める海ぞ 
富士川と 人の渡るも 
その山の 水のかぎちぞ 
日本の 大和の国の 
鎮めとも います神かも 
宝とも なれる神かも
駿河なる 富士の高嶺は 
見れど飽かぬかも

「駿河の富士の高嶺は、いくら見ていても見飽きることがない」
とありますが、
私のホンネは「なまよみの甲斐」からのほうが
「うちよする駿河」(国名の前は各枕詞)からよりも
美しいと思うがいかがでしょうか。

 あるいは、
作者は甲府方面からの富士山を見たことがなかったのかもしれません。

富士川は、少なくとも今の富士川の源は、富士山ではないが、
この歌のように富士山から流れ出たものとして歌ったもののようです。

 ちなみに、高橋連虫麻呂もいい歌を残しています。

富士の嶺を高み畏み天雲も
い行きはばかりたなびくものを

 先日も新幹線で富士山を南の方角から見たのですが、
雨雲がたなびきすぎて、昨日のようにすっきりはしませんでした。

 これで、甲斐か、駿河かというのはハンディアがありすぎますね。

 夏には、2度研修会で伊豆に行きますから、
駿河や伊豆からの富士もしっかり見てくることにしましょう。


    (つづく)


参照:新潮日本古典集成『萬葉集』青木生子・井手至・伊藤博・
清水克彦・橋本四郎校注
妊婦6人に一人が死亡! [2008年06月19日(Thu)]










国連人口基金東京事務所から、こんな会合のご案内が来ました。

池上清子同事務所長とは、同じ橋本祐子(さちこ)先生の
門下生として、ウン十年の仲良しです。

それにしても、「今、世界では3秒に1人のこどもが、
そして1分に1人の妊産婦が、命を落としています。

特に妊産婦死亡率は、開発途上国と先進国の格差が大きく、
例えばスウェーデンの3万人に1人に対し、
アフガニスタンでは6人に1人の女性が
妊娠や出産に関する原因で亡くなっています」という
数字にはショックです。

●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○

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○○○ 国連人口基金・Debli ジョイントプロジェクトのご案内
「世界人口デー」特別記念展示「Attention - 私たちの未来」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 7月11日の「世界人口デー」に向けて、
国連人口基金はDebli Projectと協働して行う
ジョイントプロジェクト、「世界人口デー」特別記念展示を開催します。

 今、世界では3秒に1人のこどもが、そして1分に1人の妊産婦が、
命を落としています。特に妊産婦死亡率は、
開発途上国と先進国の格差が大きく、
例えばスウェーデンの3万人に1人に対し、
アフガニスタンでは6人に1人の女性が妊娠や出産に関する
原因で亡くなっています。

 そんな現状を踏まえ、世界中の母と子の命の問題を考えるために、
「Attention - 私たちの未来」を共通のテーマに、
国連人口基金とDebli Projectの様々なジャンルの
アーティストが発信します。

 UNハウス1階には、国連人口基金とパートナーNGOの活動を
紹介するパネルを合同展示します。

 2階の展示スペースには、Re-cycleを超えたRe-createをテーマに
活動を行っているDebli Projectのアーティストが生み出した作品の数々、
そしてDebliのアイコンでもあるRe-createされた動物たちが展示されます。

 世界がいま注目すべき「母と子の命の問題」をより多くの人達に伝えたい、
そんな想いで実現したコラボレーションです。

 すべての人は、母から生まれます。そして、すべての人はこどもでした。

 国連人口基金×Debli Projectの作り出す
「伝えるべき何かを考える」そんな世界に、ど
うぞあなたも訪れ、そして大切な何かに「気づいて」ください。

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■ 国連人口基金・Debli ジョイントプロジェクト
■ 「世界人口デー」特別記念展示「Attention-私たちの未来」
■ 日時:2008年6月30日(月)〜7月18日(金) 10:00〜17:30
■ 場所:UNハウス 1、2階 UNギャラリー
■ 参加アーティスト:KAMI(ストリート系ペインター)
■          Candle JUN(キャンドルアーティスト)
■          ENZO(イメージモニュメント・デザイナー)
■          Debli Animals製作参加アーティスト
■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

お問い合わせは、下記へ。

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国連人口基金東京事務所
〒150-0001
東京都渋谷区神宮前5-53-70
UNハウス(国連大学ビル)7階
E-Mail: tokyo.office@unfpa.or.jp
TEL: 03-5467-4684
FAX: 03-5467-8556
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