産経の良し悪し [2007年01月08日(Mon)]
「大寒大雪」の挿画は、八ヶ岳南麓にお住まいの石田良介画伯の水彩画。石田画伯のご厚意で掲載させていただきました。禁無断転載。 1月8日付「産経新聞」についてである。
5面の「深層・真相」で「海洋基本法」がいよいよ制定されるという記事はすばらしい。いうところなし。この法律の意義を正しく捉え、海洋政策での日本の立ち遅れをきちんと指摘し、政府のとるべき施策の重要さを述べ、また、この法律が国民の責務を明記していることもきちんと紹介している。
特に、重要な視点は、 @ 海洋基本法案が海洋政策財団が中心になって、いわば民間がリーダーシップをとって纏め上げたものであること、 A 民間主導である故に、超党派で政治が取り組む基盤が出来たこと、 B 守るべき海について従来の「縦割り」かつ複雑で無責任だった政府の体制を首相の下に政策決定し、海洋担当大臣をおくようにしたこと、 C 「海を大切にする」など国民の義務をしっかりと謳ったこと、
などであると思う。
今後、こうした民間参加型の政策決定システムを他の分野でも実現すべく、「海洋基本法」が新しい道をひらいた意義は大きい。
産経新聞がそのあたりを適切に捉えて報道していることを「一国民として」高く評価したい。
他方、一面下の4段見出し「ボーダーら9人の遭難 冬の嵐、館山沖で2隻座礁」は、一読したのでは意味を成さない。
まず、ボーダーで「スノーボードをする人」とわかる人はどのくらいいるだろうか。「国境地帯」や「ボーダーライン」を連想するのが普通であろう。ここは「スノボー客ら9人遭難」とし、袖見出しは文字を太字で小さくするなどして「冬の嵐」はフォントを変え、そこで切って、「館山沖では2隻座礁」とでもすべきであろう。
私のような編集の素人でも、この見出しの酷さは「自信を持って」言える。「一読者」として、産経新聞の整理部に猛省を促したい。
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吹浦 忠正
at 21:57 |
報道 |
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在獄23回目の新年 [2007年01月08日(Mon)]
新年の「神戸ポートタワー」。1963年建設というから、もう44年にもなる。神戸市のシンボルだ。高さは108m。(鷲田マリさん撮影) 月曜の朝刊となると、つい「朝日歌壇」を最初に見てしまう。
あった。郷 隼人の2首が複数の選者に選ばれている。ほっとする。
感謝祭・聖夜も過ぎて 獄牢に 新年が来る 23度目の
これは馬場あき子、高野公彦の両選者に選ばれている。重い。
また、
真珠湾攻撃の録画を米国人と並んで視ている 単独日本人われ
これは佐々木行綱選者が選んだ。
言葉に英語のルビが振られている。「真珠湾攻撃」は「パールハーバーアタック」、「録画」は「ビデオ」、「米国人」は「アメリカン」、「単独日本人」は「ソールジャパニーズ」。したがって、ルビ通りによめば、次のようになる。
パールハーバーアタックのビデオを アメリカンと並んで視ている ソールジャパニーズわれ
新鮮な手法の昨歌ではないか。こういう手法は、この人の独壇場かもしれない。 在獄23年、この人は歌に生きて、私を含め、多くの日本人に大きな影響を与え続けている。これも人生か。できることなら会ってみたい人の一人だ。獄に繋がれていなくとも、「ソールジャパニーズ」が目に付く、「成人の日」だ。
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Posted by
吹浦 忠正
at 19:13 |
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歌声喫茶「ともしび」 [2007年01月08日(Mon)]
「港の見える丘公園」にある「イギリス館」は同公園に残っている数々の「洋館」の中でも屈指の名建築です。 会場は、元英国横浜総領事公邸。雰囲気抜群でした。 その英国総領事公邸の故事来歴 新宿の歌声喫茶「ともしび」からの出張出前指導でした。 あるんですよ、今でも、歌声喫茶「ともしび」は。
昨日横浜まで森麻季さんを聞きに行ったときいただいたチラシで、歌声喫茶「ともしび」が「出前コンサート」を盛んに行なっていることを知り、きょう、「早朝歌声コンサート」に出かけた。(ずいぶん暇人だとおもうなかれ。パソコンのワードが壊れてしまい、執筆が出来なく少々弱っているため、時間が出来たのです。)
行き先は、同じく横浜の「イギリス館」。1932(昭和7)年に「港の見える公園」の一等地に建てられた元英国総領事館である。
約50人がざっと30曲を熱唱した。リーダーはその昔、「ともしび」で焼きそばを作っていたとき、抜擢されて歌唱指導に回ったという元法学部生。
さすがにみなさん、長年、歌いこんでいる方が多く、大変な歌い手ばかりであるのが最初の驚き。
次に感じたのは「ああ、冷戦時代は終わった。ソ連賛美は終焉したんだ」。このほうがむしろ強い印象だったかもしれない。
配られた歌集には、なんと99曲ものロシアといってもほとんどソ連時代の歌が並んでいる。ほかにもいわゆる「反戦歌」が圧倒的に多いが、実際にリクエストされる第1位は、いまや新井満作詞作曲の「千の風になって」。また、槙原敬之作詞作曲の「世界に一つだけの花」も大人気で、家族連れで「ともしび」にやってくる子ども達に愛唱されているのだそうだ。
唱歌・童謡の歌詞でも、「冬の夜」の2番、「囲炉裏の端で縄なう父は 過ぎし戦さの手柄を語る」の原詩をそのまま歌わせている。
拙著『歌い継ぐ日本の心―愛唱歌とっておきの話』(海竜社)で詳しく述べたように、いまでは、鮫島由美子さんほかごく少ない歌手を例外として、「過ぎし昔の思い出語る」としているところである。
これを「右傾化」とか、「ともしび」よ、お前もか、」などと短絡的に考えてはいけない。原点に返っただけのことであり、偏狭で単純な「念仏平和主義」が「ともしび」でまで、飽きられたということではないか。
学生時代に1,2度行って、あまりに左翼色の強い雰囲気にうんざりして以来の「歌声運動」への参画であったが、私の頭が古かったということを再認識させられるいい機会になった。
今回は唱歌・童謡シリーズ第1回ということもあって、大部分は日本の歌で、外国曲は、会場の関係もあってか英国の歌が3曲、ドイツ、ロシア各1曲だった。こういうことなら機会があったら大いに高歌放吟に行きたいものだ。
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Posted by
吹浦 忠正
at 17:37 |
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『のだめ・・・』のハリセン [2007年01月08日(Mon)]
横浜みなとみらい大ホール。開演前にしか撮影は出来ないので、これで演奏者と音を想像していただくほかないのは申し訳ありません。しかし、「新春コンサート」にふさわしい何とも明るくたのしい演奏会でした。聴衆はやや年齢が高かったですが、超満員、しかも男性も目立っていたのが嬉しかったです。 クラシック音楽のファンが激減しているそうだ。さまざまな関係者から聞いた話だし、私自身、毎週のようにさまざまなコンサートにでかけてみて、それを実感する。
そんなところに、「名作」?『のだめカンタービレ』が登場した。
人気爆裂につられ、私も読んだ。野田恵、略して「のだめ」をめぐる「桃ケ丘音楽大学」を舞台にした青春物語。むしろ、千秋真一のほうが主役のような気もするが、そんなことはどうでもいい。
友情、愛情、ホモセクシュアル、師弟愛、我欲、崇高なる音楽への探究心と向上心、青春への回顧、国際性、雑然たる学生生活、貧困、破産、留学、栄光、運と不運・・・などまぜこぜの要素が快調な会話体を主体に書き綴られている。
年末でテレビドラマは終わったそうだが、わがユーラシア21研究所の多賀谷真由嬢などは、全編しっかり見たというのであるから、若い人たちには相当な人気番組だったようだ。そういえば、この小説にも多賀谷彩子という脇役が出てきていたが、それはどうでもいい。
問題?はそのなかで「ハリセン」という言葉が出てきたことだ。これがどうしても判らなかった。江藤というピアノ教師がハリセンをかついで・・・というのだが、見当がつかなかった。そこで、私は思いあぐねてそれを、日頃音楽をご指導いただいているピアニストの山季布枝(やまきのぶえ)先生にメールで訊いてしまった。わが、うら若き兄姉弟子に、「なんてくだらないことを末席の弟子は簡単に大先生に訊くのか」としかられそうだ。
以下は畏れ多くも、即刻いただいたその回答である。ちなみに、フッキーさまとは「余のこと」である。
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フッキー様 難しい?ご質問を拝受。 ピアノ教師が肩に担ぐもの????? 妹にに尋ねましたら、 笑われました・・・
なんと、お笑い芸人が 人を叩く、お扇子のように「たたみ折った形」のものだそうで、 そういえば、明石家さんま とか ビートたけし(今や世界の北野と言われていますが) が相方を叩いたり、机を叩いたりする 紙製のものを見たことがあります。
私も「のだめカンタービレ」を読まねば・・・と思いますが、 若い門下生は「あんな馬鹿馬鹿しいものを読まないで!」 という意見と 熟年門下生は「ナンセンス漫画ですが、ドラマ化によって 一般の人がクラシックを聴いていますので、 先生も、ドラマの中で使われている曲は抑えていた方が得策ですよ」 と言っています。 フッキー様の読後感は??? ではまた・・・ 山季布枝
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私からももちろん以下のような返事をした。
読んでいながらばかばかしくて何度も挫折しかけました。横浜までの電車の中で読み出しては、居眠りしてしまいました。また、現に、あと20ページほどはアルコールが入るまではしらけてしまいそうで、読み残しています。
ハリセンはあの講釈師が使う扇の代わりの紙製のヤツですか。はぁ。
しかし、あんな小説やテレビでクラシックのファンを増やすのは不必要ですね。あれを愛読する人が来て、どうするのでしょう。コンサート会場の質的低下です。
われら「正統派?」は真の音楽的感動を持って固定ファンを増やしてゆこうではありませんか、とチト、格調を高めておきましょう。 昨日は横浜で森麻季さんのソプラノと、どういうオケかわかりませんが、ウィーン・シュトラウス・フェスティヴァル・オーケストラ新春コンサートに行きました。ペーター・グートという指揮者のサービスセンスに脱帽です。そういうサービスのほうがよほどファンを増やすでしょう。時間があったらあとでブログに書きます。 フッキーこと吹浦忠正
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辞書で「ハリセン」を引いてみたがでてこなかった。しかし、よく考えてみたら「張り扇」から「ハリセン」になったことが判った。
昨日のコンサートについては追ってさらに書いてみたい。
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Posted by
吹浦 忠正
at 16:30 |
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