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近衞忠煇会長と細川護煕元首相 [2009年11月20日（Fri）]
 今年２月８日、共通の恩師である橋本祐子（さちこ）先生の生誕１００周年 記念の集いを企画・運営した３人。中央が近衞忠煇日赤社長、左は高橋 重宏くん（社会事業大学次期学長）、右が筆者。 畏友・近衞忠煇日赤社長が、昨１９日、国際赤十字席新月者連盟（IFRC）会長に選出されたことについて、いくつかのメディアと小欄の読者から、細川護煕元首相とのことについて尋ねられた。少々ややこしいので、この機会に多少触れておきたい。 熊本藩主だった細川家のご当主はいうまでもなく護煕氏。細川護貞と温子夫人（近衛文麿元首相の次女）の長男であり、近衞忠煇氏はその実弟。もちろんご両親とも同じである。近衞家では、祖父・文麿元首相（公爵）が戦後すぐ自決し、長男・文隆が日ソ国交回復（１９５６年１０月）の直前に殺害され、名門（公家筆頭）の当主が不在となったため、忠煇（当時は、細川護煇）氏は母方の実家である近衞家に養子に入ったもの。 鎌倉の栄光学園では、後にペルー大使として人質になった青木盛久氏の１年後輩で、ともに新聞部で活躍した。 その後、学習院大学政治経済学部政治学科を卒業し、ロンドン大学に留学、1963年（昭和38年）帰国にあたり立ち寄ったジュネーブで、わが師・橋本祐子（さちこ）日赤社会部青少年課長（当時。通称：ハシ先生）と偶然、出会った。 赤十字思想誕生１００周年記念青少年赤十字世界大会に参加する数名の日本の青少年を引率してジュネーブにいた橋本は、カフェで前の通りを行く細川護煇青年に声をかけた。 「あなた、いい男ね」。確かに「（当時は）私が真っ青になるくらいの」いい男だった。 「あしたね、赤十字の世界大会があるのよ。日本の国旗を持って一緒に行進してよ」 「・・・」 「何をグズグズしてるのよ。さぁ、今から始まるリハーサルに行こう！」 こうなったらわが師は（私以上に）強引だ。 そこで手渡されたのが「日の丸」ではなく軍艦旗。 「こりゃいけない」とわが師は（少なくとも私以上の器用さで）白と赤の布地を買って、 縫い合わせた。 帰国後の近衞氏。留学の報告に島津忠承（ただつぐ）日赤社長を訪ねた。 「いやぁ、ジュネーブですごいおばさんに引っ張り出されまして・・・」 「あっ、そりゃ橋本さんだ」 「そうなんです。でも、おかげで、私の誕生日が赤十字の創始者（アンリ・デュナン）と同じ５月８日だということを知りました」 「キミ、それも何かのご縁だ。ウチに来たまえ」。 ま、そんな感じで日赤本社への採用が決まった。 これは、本人、島津社長、ハシ先生から聞いた少しずつちがう話を、私流にまとめたもので、ま、ノンフィクション短編小説みたいなものだ。 その後、三笠宮崇仁親王の長女・甯子（やすこ）内親王と結婚した。護煇という如何にも細川家らしい名を忠煇にするときは一苦労、年賀状を忠煇の名で出すなど、私どもも多少の協力をした。 一人っ子の忠大（ただひろ）くんはNHKを経て、今は文筆業。近衞家に関わる、なかなか調査の行き届いた作品や研究所などを出している。将来有望のライターだ。 そうそう、近衞忠煇「連盟会長」は話術の名手。我が国有数といってもいい話し手だ。英仏両語に加え、なんといっても「日本語に堪能」、日赤の近代化や改革、さらには新たな立場での北朝鮮の拉致問題の解決にも期待が寄せられている。 近衞忠煇氏については今朝の読売新聞の人物欄に詳しい。また、私も取材を受けたのでわかるのだが、朝日新聞の同様の欄でも紹介されるかと思う。 |
