声楽家と歌手の違い [2008年06月28日(Sat)]
![]() 声楽家・藍川由美さん ![]() 歌手・川口京子さん。おふたりともすばらしい研究者であり、 歌い手であり、指導者でもある。 6月28日、江戸東京博物館で開かれた 「歌い伝える日本の唱歌」のプログラムを見て、気付きました。 第1部で、 唱歌の薀蓄を語りながら歌唱指導した藍川由美さんの肩書きは 「声楽家」、 ほかのところで独唱した稲村なおこさん(NHK歌のおねえさん)、 川口京子さん(1999年度日本童謡賞特別賞受賞者)、 松原健之(演歌歌手)の3人には、「歌手」という肩書きなのです。 どう違うのかな、と言った瞬間、同行の「妙齢の美女」の一人が、 「マイクを使わないで歌う人が声楽家、使うのが歌手」 とおっしゃる。 なるほど、藍川さんは絶対に使わない。最後に全員が出てきて、 会場の私どもといっしょに 「ウミ」(林柳波作詞、井上武士作曲)を歌ったときも、 お一人だけマイクなしで、朗々と声を響かせて歌っておられた。 これは分かりやすい区別かもしれないと納得しつつ、 講談社の『類語辞典』を引いてみた。すると、 声楽家とは、「声楽曲を歌うことを職業としている人。 ふつう、西洋のクラシック歌曲を歌う人をいい、 演歌や歌謡曲を歌う人は含まない」とある。 では、歌手は? 「歌を歌うことを職業としている人。オペラ〜、演歌〜」。 歌姫は「女性の歌手」。そりゃそうだろう。 男性なら、歌太郎? そんなのはない。 似た言葉に、歌い手というのがある。ところがこれは単に、 「歌を歌うのが上手な人」なのだそうだ。 オペラ歌手は通常、マイクを使わない。 また、オペラ声楽家ともいわない。 だから、マイク云々で区別するのは少し無理があるかもしれない。 せめて私は歌い手をめざしているつもりなのだが、 「日暮れて道遠し」の感が深い。嗚呼! |







