世界一華麗な鳥 [2006年10月23日(Mon)]
![]() ![]() ![]() 写真は以下のHPから無断借用しました。あしからずご了承下さい。 http://www.tekipaki.jp/~texbird/quetzal_gallery.htm http://homepage2.nifty.com/wwgkanda/ASAHI/asahi1.html この週末、『世界の国旗ビジュアル大事典』(学研)の校正をした。もう、国旗の本は何冊目になるだろうかと、自分でも分からないくらいの数のはずである。 こんどの本は、11月には発売されるが、国花と国鳥もいっしょに紹介したい、国内使用縦横比の旗も掲げたいという編集者の意欲に動かされ、この夏、それなりの努力をしたつもりだ。 国鳥というのは、もちろん法律で決めている国もあれば、そうでもないという場合もいくらでもある。 ウガンダのカンムリヅル、パプアニューギニアのゴクラクチョウ、ドミニカのオウム、エクアドルのコンドルといったものは分かりやすい。 世界でいちばん華麗な鳥と言われ、手塚治の「火の鳥」のモデルにもなったといわれているケツァールは、グアテマラの国旗に描かれている。実際には、メキシコ南部からパナマにかけて分布し、標高1500m 以上の深い森林に単独またはつがいで棲んでいる。 『世界の国旗ビジュアル大事典』ではこんなふうに書いた。 ☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜ 35.グアテマラ共和国 ユカタン半島の南に位置する国。国旗は、かつての中米合州国の旗に由来し、青は完成を得たいという望みを表わすとともに、左右の青い帯は太平洋とカリブ海を意味し、この国が2つの海に面していることを示している。白は平和に対する願いを表わす。全体で、海から海まで、全国土に平和が広がることを希望している旗ともいわれている。紋章の中央の文字は、スペイン語で「1821年9月15日独立」の意。鳥は国鳥のケツァール(Quetzal)。中米地方特有の鳥で、和名はオナガキツツキ。この鳥は、捕らえられるとすぐ死ぬことが多いことにちなんで、自由の象徴とされているが、1964年夏以来、東京の上野動物園で飼われていた。非常に美しく高雅なこの鳥は、グアテマラ人の誇りであり、同国の貨幣の単位にまでなっている。1871年に制定。 ☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜ 青年海外協力隊のコスタリカ隊員はよく、この鳥を見に行ったという話を書いたり、報告したりしている。かつて、協力隊の事務局長だった野村忠策氏は、私と同じ誕生日(私は誕生日が同じ友人を14人持ち、内、2人は生まれ年まで一緒!)だったこともあり、親しかったが、現職のコスタリカ大使の時、小型機の操縦練習中に墜落死した。合掌。 その野村大使からもケツァールの美しさについては何度も伺った。 キヌバネドリ目キヌバネドリ科の鳥で、ケツァール属 Pharomachrus の鳥の総称がケツツァールquetzalだ。しかし、狭義には、Pharomachrus Mocinno と学名で呼ばれるのがケツァールで、全長約37cmと物の本にはある。ただし、雄は飾羽を持っていて、その全長はしばしば1m以上に達する。頭から背にかけて金属光沢のある濃緑色をしており、腹部が鮮やかな赤色である。 グアテマラでは国章、国旗、切手、コインに登場し、貨幣の単位もケツァールである。 この地方に栄えた古代マヤやアステカの文明では、ケツァールは「大気の神」として崇拝されていた。古代アステカではケツァールはヘビの神であるケツァルコアトル神の使いであり、その飾羽を身に付けることは最高位の聖職者と王だけに許された特権であった。このため王冠や聖職者の冠に加工されたりした。 「自由を奪われると死ぬ」と言い伝えられ、自由の象徴とされているが、なぜか、上野動物公園に1964年から、小さなケージで飼われていた。 1980年代、わが子を連れて行ったとき確かに見たが、さきほど問い合わせたところ、「今はいません。日本のどこの動物園にいるかはわかりません。ネットで調べてみてください」。いと冷たき「妙齢の美女」よ! 結局、私には出来なかったので、今、日本のどこにいるか、どなたかお分かりでしたら教えてくださいと、呼びかけるほかない。 ケツァールにはもう一つ伝説がある。侵略者スペインと闘って破れ、1524年2月20日に火あぶりにされた勇士でグァテマラの国民的英雄であるテクン・ウマンのとのことだ。テクン・ウマンが血に染まった時、ケツァールが胸をかすめて飛び去り、それ以来ケツァールの胸も赤くなったという、愛国伝説だ。このため2月20日は「テクン・ウマン」の日という祝日になっている。 |