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ブルーバードの子供達

カンボジアで現地の子供達へ教育支援をしています。特に里子支援について、その取り組みの試行錯誤を綴っています。歴史や習慣が違って難しい事もありますが、子供達の成長を見るのはいつもとても嬉しいです。


冬のグリーティングカード (2) [2024年12月26日(Thu)]
クラチェのほうは年齢幅が広いので、学年によってツリーの工作の種類を変えました。学年により、1〜2種類のツリー工作をカードに盛り込みます。円形にした色紙をツリー型に折るもの、色紙を貼り合わせて立体のツリーにするもの、コラージュ、リボン1本をジグザグに貼ってツリーの形にするもの…実に4種類のツリーを紹介しました。何か1つのものを表現する際に、その表現の仕方が様々ある、という事を伝えたかったのです。

低学年は色紙を丸く切って作るツリーで一番簡単かと思ったのですが、切り方によって丸ではなく四角くなったり、丸に深い切込みが入ってしまったり、難しさと発見がありました。

しかしすべての学年を通し、こちらから紹介した以上の行動を見せてくれました。例えば2色の色紙で作るものでも、友達と色紙を分け合って3色で作ってみたり、デザインペーパーの柄の部分を切り取ってカードの新しい装飾にしたり、余った色紙でツリーの幹の部分や星など作って各々オリジナルなカードを仕上げていました。作っているうちに、そういう発想がわくのですね。素晴らしいです。

絵は、去年はカンボジアの風景を描く子が多かったのですが、今年は低学年からほぼ全員が、雪だるまやツリーにプレゼント、トナカイなど、クリスマスの絵を描いていました。知らない、見た事ないものは描けないので、異国の冬景色の挿絵のあるカードを去年も今年も幾つか紹介しました。今年は、そんな新しいものを描いてみようと思う子が増えたのですね。

このような事柄を通し、積み重ねって大事だな、と思わずにいられません。

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冬のグリーティングカード (1) [2024年12月25日(Wed)]
この冬は2つの地域で子供達とグリーティングカード作りをしました。
これまで支援活動を行っているクラチェ州と、この秋から新たに別の州の田舎でも里子プログラムを行える事が決まり、今年2度目の訪問をしました。

この新しい田舎のほうは、具体的な活動としては今回が初めてです。今回、紙を折ったり、切ったり、絵を描いたりと幾つか作業がありましたが、あらゆる事に慣れていないようでした。

カードのメッセ―ジとして、まずお便りの習慣が無いので、今年の一番楽しい思い出をテーマにして書いてもらう事にしました。ですが、その楽しい思い出がまずすぐに思い浮かばないようでした。日々、同じ生活の繰り返しなのかも知れません。それでも、お正月やお盆は家族や親戚が集まる特別な行事なので、そういった時の出来事を書いてみるのはどう?と同伴して下さっていた先生に提案してもらい、なんとか書いていました。

挿絵としては、日本やアメリカなど海外のクリスマスカードや年賀状はこんなものがあります、と幾つか紹介しました。冬景色を描きたければ参考にしてもらえば良いと思っていたのですが、そもそも絵を普段描かない、描いた事もない、という子達が多く、まずは身近なものを描いてみる事にしました。家1つにしても、人1人にしても、描き方がわからず先生に教えてもらっていました。

人の書いた事・描いたものをそのまま写す、というのはプログラム中では通常NGにしていますが、例えば日本であれば小さい頃から様々な情報に囲まれ、見て描きながらそれがどんなものか覚えたりするものです。もっと上手に描こうと思って真似する事もあります。この子供達にはその過程が抜けているので、色々考慮しながら進めています。

折り方も、目の前で実演しても違う方向に折ったりして。普段の生活の中で空間認知力などを育む機会、環境が無かったのだなと思います。このような子達がまだあらゆる場所にたくさんいるでしょう。できるだけ広く多くの子供達に、機会を提供できるようにしたいと思いました。

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鉛筆立て (3) – 色紙 [2024年10月24日(Thu)]
近年1つ、時代の違いを感じる事があります。以前の活動では、子供達はあまり色やデザインなどの自分の好みを持ち合わせていないように感じていました。プログラムに使う便箋などを配る際も、選ぶ事無くただ上にあるものから取ったり、どんなに綺麗な挿絵が描いてあってもお構いなし、すべてはただの紙であるといった感じで文字が載っていました。あまり、目的以外の事に心を費やさない印象を受けました。生き繋ぐ事が最優先の生活では、それも当たり前の行動なのかも知れません。

それでもめげずに、色や柄が選べるものを教材にする時は、子供達に極力選んでもらうようにしてきました。作文でも工作でも、例え苦手であっても好きな色や柄を扱う事でモチベーションが上がるだろうと思いますし、何より子供達自身の感性を刺激し高めたかったのです。

近年、島の里子に関して言うと、絵の具や折り紙、リボンなどを使った活動の際、特に低学年の女の子達はこぞってピンクが欲しいと言います。明るい色や可愛らしい柄のものにもっと触れてもらえるように、こちらもそのような教材をより揃えたいなと思わされます。今回のプログラムでは、女の子達は高学年の生徒も皆 自分の好きな柄を選びました。赤い花が好きな子、黄色の柄が好きな子、同じ桜柄でも黒地が綺麗だと思う子、白地がお洒落だと思う子、幾何学模様に興味を示す子… このように個性が表れるのが本当に尊いです。

折り紙やデザインペーパーの柄に限りがあったので概ね柄が被る子達がいたわけですが、面白いのは 数種類の色紙で装飾する子がちらほらいた事です。数量に限りがある為、1人1枚で装飾できる設計にして、1人1枚ずつ配布しました。1枚を使って綺麗に仕上げる子達と共に、友達間で切れ端を交換して、自分だけのものを完成させる子もいたというわけです。そのような発想を微笑ましいと思いました。日本やアメリカなら幼稚園や小学校で自然に体験してくる事ですが、そのような機会が無かった子達がこうやって感性や創造力を高めています。

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鉛筆立て (2) – のりしろ [2024年10月20日(Sun)]
このプログラムの中で、もう1つ焦点を当てたねらいがありました。それは、のりしろの概念を周知する事。

特に都市部から離れた地域の話ですが、子供達は、家で紙工作をするといった遊びをする事がほとんどありません。紙自体が無かったりしますし、ハサミは調理用や工具としてのハサミはあっても、他の目的でハサミを持ち合わせている家庭は少なかったりするようです。ノリなど尚の事、生活の必需品では無いので持つ価値がほぼありません。都市の文具店では10年前と比べ今は文房具や画材などの種類が著しく豊富になってきていますが、僻地とはまだまだ差があります。

そのような環境であっても、関心のある子は積極的に何かをノートの切れ端で作ったりします。里親さんに手紙を書く為に自分で封筒を作っている子がいたのですが、紙を2つ折り、もしくは3つ折りにして、学校でホッチキスを借りてそれで周りを閉じているのをよく目にしました。ホッチキスの代わりにテープがあったとしても、周りをテープで留めたでしょう。

ちなみにテープは荷物を梱包するような大きなテープは一般的に使われますが、事務用のセロテープなどそこまで学校でも使わないようです (村の学校)。もちろん、あれば使用されると思いますが、大抵の場合大きいもので代用されているのかも知れません。ノリは教室を飾るクラフトや展示物を作る際にもしかしたら使われるかも知れませんが、平面のものを貼る目的が主で、立体にして組み立てるものは無い印象です。

そのような環境と相まって、子供達にはのりしろ、という概念が無いのですね。今回の図面にはちゃんとのりしろがあります。もちろん、組み立てる際に絶対知っておかなくてはならない、というものではありません。コンパスにしても、この子供達の今後の人生で、その知識が将来何かの役に立つ事は無いかも知れません。しかし発想やものの考え方、ものの見方や自然法則は、あらゆる点で人生を (経済的な事に関わらず) 豊かにする要素であると考えています。
鉛筆立て (1) [2024年10月17日(Thu)]
秋の訪問で、鉛筆立てを作成しました。日本ではよく牛乳パックで作られているものです。最大の目的は、定規の使い方に慣れる事。こちらの農村部の子供達は、定規で長さを測る、という習慣があまり無いようです。定規は、白紙に文字を書く際まっすぐに文章を書けるように線を引いたり、また絵を描くのに使っています。絵の中で例えば家を描く場合、屋根や壁の線をまっすぐに描こうとして定規を使うのです。個人的に、そのような絵は自由な線で描いて欲しいなと思いますが…。

小学生、中学生、高校生で違う形のペン立てにしました。小学生は三角柱2つ (長1・短1) の、底が菱形のペン立てです。中学生は、三角柱6つ (長3・短3)の、底が六角形のもの。高校生は長・中・短の3種類の三角柱が2つずつ組み合わさった形です。それぞれ図面が違い、年齢が高くなるほど、沢山長さを測る事になります。図面の他に、ペン立ての外側を飾る折り紙も決まった通りに測って切ってもらいます。ですから今回は本当に、長さを正確に測り、正確な形を作る、という事が活動の趣旨となりました。出来上がったペン立ては家で是非勉強に役立ててもらいましょう。

プログラムの中では、コンパスを使う体験、コンパスで正三角形や正六角形を作成する概念も紹介しました。三角形を描く際、分度器を利用する方法も念の為復習しつつ、今回はコンパスで。初めてコンパスを使う子が大半でした。農村地域では、学校内でも児童、生徒自身においても教材が不足している事が多く、敢えてそのような体験は授業から省かれたりするのです。

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里子達を社会見学に [2023年09月30日(Sat)]
かねてから、里子達をアンコールワットに連れて行ってあげたいと思っていました。アンコール遺跡群は国の最大の文化遺産であり、国民の誇りです。しかし地域により受けられる教育の内容には差がありますし、かと言って大人になっても一生のうちに実際にそこを訪れる機会の無い人はまだ多いでしょう。殊に里子のいる島では本土に渡って同じ州の市街地へ行くのでさえ、容易ではありません。しかしやはり自国の歴史や文化背景に深く触れる事は大切だと考え、高学年から順に遺跡群のあるシェムリアップ州へ社会見学に引率するプロジェクトを開始しました。

只今里親の皆様の篤いご支援のおかげでこの地域からは49人の子供達にサポートを提供する事ができており、今回はこのうち中学、高校の9人を連れて行く事ができました。

遺跡群ではカンボジア語ガイドさんに付いてもらい、説明を受けながら回りました。アンコールワット、タプローム寺院、そしてアンコールトムでは南大門〜バイヨン寺院〜バプーオン〜ピミアナカス〜象のテラスを見学しました。雨に降られたのでライ王のテラスは通り過ぎながらの説明になってしまいましたが。アンコールワットだけでも見どころがたくさんありますが、その壮大さを感じるだけでも貴重な体験になったはずです。

その後は国の貧困問題解決の為に発足したソーシャルビジネスの施設見学に行きました。伝統手工芸品を製作しており、カンボジア土産の有名ブランドでもあります。その企業の歩みについて説明を受け、手工芸の製作過程を案内して頂きました。

数日間でしたが、歴史や様々な考え方を学び大きく視野が開けた事と思います。1人でも多くの子達にこのような機会を提供できるよう、見学プロジェクトを継続していきたいと思っています。

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カンボジアでカルタ (2) [2023年09月24日(Sun)]
作り終わると、グループ分けをして、自分が作ったのではないカードで遊べるように調整します。幾つか小グループを作り、それぞれに先生に加わって頂き読み手をお願いしました。カルタのような遊びはカンボジアには無いようですが、遊ぶうちに要領を得て、結構皆真剣に取り合い、各グループ白熱していました!

子音が33個ですが、その音から言葉や文章を始めるのが難しそうなものを省いていますし、たくさん言葉が浮かびそうなものはやや増やしています。なので各グループで、同じ文字から始まるカードが2枚以上混ざっている場合があります。お手付きをすると1回休みですから、正しい絵札が取れるように注意して先生の読み上げる文を聞いていないといけませんよね。楽しんで集中する事もできたと思います。

せっかくなので、各グループで一番たくさんカードが取れた子には小さな賞品を準備しました。学年の中で1番とか全校で1番、ではなく、各グループで1番の子に配りました。できるだけたくさんの子が、達成感や認められる喜びが感じられるように。賞品はデザイン消しゴムです。日本には精巧にお菓子や動物などを模した消しゴムがありますね。なんだか素敵でもらうのが嬉しい、且つ学習の役にも立つ、という観点で選んでいます。

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カンボジアでカルタ (1) [2023年09月23日(Sat)]
今回ボランティアの方々が来て下さったので、農村の小学生を対象とした教育支援プログラムを行いました。カンボジア語でカルタを作り、それで遊ぶのです。

カルタを実際に作ってみる事は、国語力や表現力を磨く練習にちょうど良いです。カンボジアには33の子音がありますので、まずそれらを子供達に割り当てます。日本とは文法も違い、その文字から始まる単語はあっても文章を作るのは難しい事があります。ですので難しいと思われる文字は少なめにしました。

割り振られた文字から始まる文を書くカードと、その文に沿った絵を描く用のカードで1ペアです。各自それらを 平均3セットは作れるようにしました。語彙をたくさん知っていないといけませんから、子供達が助けを求められるように現地の先生方にも協力を仰ぎました。

低学年の子の方が積極的に考え、描いていました。クレヨンを使う事自体にまず興奮しながら。ちょっと年齢があがると、こんな文を作ったらおかしいかな、とか、文を考えてもその絵が描けないから違う文に変えよう、など考えてしまうのかも知れません。

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手作り栞 – 目的 [2023年09月18日(Mon)]
今回の目的には、もちろんまず工作を通して得られる体験の提供…難しい事を言えば手先の巧緻性や空間認知能力を伸ばす…といった事があげられます。創造性や表現力を培う事にもなります。しかし一番根底にあったのは、子供達の感性を刺激する事です。

その日生きる事が最優先、というような生活の中では、「これは美しいな」と何かに感動する経験が少ないのではないか、と思う事がしばしばあります。ですからカラフルな色紙や、綺麗・楽しい絵柄の紙、リボンやキラキラのラメで、普段の生活圏に無い物に触れて感動し、そういった美しいものを自分で使う感覚を共有したいと思いました。

また青いスパンコールとラメで波や水を表す、という概念も斬新だと感じた子もいるでしょう。大自然とは直に接する機会は多いですが、子供達は固定概念の中で生きる時間のほうが多いのかも知れません。ですので上記のような表現の枠を広げたかったのです。ただページを折るのではなく、こういう物でも栞に活用できるな、と普段の生活の中から見つけたり、そういったものを実際に自分で作れるかも知れません。栞に限らず、今後物の別の使い方に考えを広げられるかも知れません。

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手作り栞 – 概要 [2023年09月15日(Fri)]
今回里子達とは工作の時間を持ちました。内容は栞作りです。作る栞は全部で3種類。

@ デザインペーパーを使ったシンブルなもの。
折り方は簡単なので、普段遊びの中で紙を折るという機会の少ない子供達にはウォーミングアップです。デザインペーパーを何種類か用意して子供達には自分の好きな絵柄を選んでもらいます。シンプルながらも、視覚的に心躍る栞ができます。

A ハート形でページの角にかぶせるタイプの栞。
ハート形の栞ができる、という事に子供達は沸き立ちました。折り方が複雑ですが、これも体験。こちらの手の動きを見ながら同じように折ってみます。こちらは柄無しの単色なのですが、@同様1人1人に普段喜んで使って欲しいので、折り紙の中から好きな色を選んでもらいました。低学年の女の子にはピンクが人気でした。数が足りて良かったです!

B 海をイメージした貼り絵にスパンコールやラメを入れた創作栞。
台紙にナイロンを巻いたり、もしくはナイロンの小袋を貼ったり、という作り方も色々できるようですが、ちょうど短冊型のナイロン小袋があったので、その大きさに合わせて予め薄めの画用紙で台紙を準備しておきました。当日子供達は折り紙を切って、その台紙に好きな模様を貼っていくのです。貼り絵が出来上がったら台紙を小袋に入れ、更にラメを入れて両面テープで閉じます。そしてパンチで穴を開けリボンを通してできあがり。

大きな画用紙ならまだしも、台紙が小さくて切り絵は難しいかなと不安に思っていましたが、上手に作っている子が多かったです。自由にハサミを入れてみたり、念入りに下書きして、どんな模様を作ろうかイメージを膨らませていました。何回も貼り直しする子ももちろんいましたが、最終的にできたキラキラ栞に笑顔になってくれていました。教科書を開くのが、楽しみになると良いです。

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