脱原発へ、今すぐ!〜ドイツの脱原発方針と全国デモ [2011年05月31日(Tue)]
FoE Japanの吉田です。FoEドイツ(BUND)と今後の協働について等話し合うためにベルリンへ。28日(土)には脱原発デモに参加しました。
◆ドイツ、2022年までの脱原発を再度決定 5月30日未明、ドイツ政府(メルケル政権:CDU、CSU、FDP)は2022年までにすべての原発を廃止することを発表しました。6月6日に閣議決定が予定されています。 ドイツにある原発は17基、これまで電力供給の約24%を占めていました。 今回の決定で、故障中だった1基と1980年以前より稼動していた旧式の7基を廃炉に、その後2021年までに6基を、2022年までに3基を停止して原発を全廃する方針が示されました。 この決定は、福島原発事故後「できる限り速やかに」脱原発を実現するとの発表や、「今後10年以内に脱原発は可能」とする倫理委員会(脱原発に向けた首相の諮問機関)の報告、2012〜2015年までにも可能とするNGOや研究機関の報告からみれば、まだまだ大きく遅れをとっているものの、世界的な脱原発に向けた一歩であると言えます。 ◆ドイツ全土に巻き起こる脱原発旋風 原発事故直後の3月14日、政府は2010年9月に発表した原発延命政策(*1)を一時保留し、 3ヶ月後今後の脱原発政策を決定すると発表していました。 (この時、故障中だった1基に加え1980年以前より稼動する旧式の7基を停止、 その後さらに5基が点検で一時停止、現在稼動は4基です。計画停電などは起こっていません。) ドイツでは3月以来脱原発に向けたデモ旋風が吹き荒れており(*2) 5月28日(土)は、その決定を目前に、ドイツ国内21都市で合計16万人ができる限り速やかな(今すぐ!)脱原発を訴えました。 ベルリンのデモには2万5000人が参加、中心部から出発して大きな通りを5キロほど歩き、最後はCDU(メルケル首相の所属党)本部の前で集会が行われました。 Atomkraft, Abschalten! (原発止めろ!) Atomausstieg, jetzt jetzt jetzt! (脱原発、今すぐに!) などの掛け声のもと、カラフルなシンボルマークSmiling Sunを手にした人たちが、全車線閉鎖された(!)広い道路を埋め尽くしました。 BUNDのデモカーからは、斉藤和義の替え歌「ずっとウソだった」も流れ、にぎやかに歩きました。 ◆FoE Japanからのメッセージ CDU前の集会では、私も日本からのメッセージを伝える機会をもらい、福島や日本の状況を伝えました。 ------------------------ 今なお見えない放射能汚染が福島の人々の生活を脅威にさらしている。 特に、子どもたちへの影響は深刻であり、子どもを持つ親の気持ちを思うと言葉もなく胸が痛む。 福島の親たちや市民は、一刻も早い最善の対策を政府に求めている。 昨日(5/27)、市民運動の一つの成果が現れた。文部科学省が、子どもたちの積算被曝量をできるだけ低減させる方針を明らかにしたのだ。 ついに政府は、子どもの将来を憂う親、すべての市民、海外からの声を、無視できなくなったのだ。 ドイツからのオンライン署名や寄付も、助けとなった。 3月末のドイツのデモも日本で報道され、私たちを勇気付けた。 多くの人が日本でもデモに参加し、署名をし、政治家に声を届けている。 今後も市民の圧力が欠かせない。 フクシマを二度と繰り返すな! 脱原発を今すぐに! ------------------------ 6月11日脱原発100万人アクションでは、 脱原発の市民の声を日本から世界に呼びかけましょう! ・BUNDによる報告(写真あり) http://www.bund.net/bundnet/themen_und_projekte/atomkraft/energiewende_now/demonstrationen_28_mai/demo_fazit_seite/bildergalerie/ --------------------------------------- *1:ドイツはシュレーダー政権時代の2002年、2022年までに脱原発を実現する法律を制定しています。 しかしメルケル政権は2010年9月、再生可能エネルギーの普及が十分に進むまでの「橋渡し技術」として、原発を最長14年間延長する方針に変更していました。 *2:ドイツ全国デモのサイト http://anti-atom-demo.de/ ・3月21日(火)スローガン「フクシマは警告する」 ・3月26日(日)ベルリンなど4大都市で25万人 ・4月25日(月)チェルノブイリ25周年+毎年恒例の反戦反核イースター行進 ・・ ほかにも全国各地で毎週主に月曜日に広場などに市民が集まり、 「Fukushima ist ueberall:フクシマはどこでも起こりうる」を合言葉に警告アクションを続けています。 ・Montags Aktionen(月曜日アクション) http://www.ausgestrahlt.de/mitmachen/fukushima/montags-aktionen.html |