インターンの榊原です。3/3-4の週末に、ぽかぽかプロジェクトの派遣隊として、初めて福島の土湯温泉に行ってきました!
福島駅につくと、そこは雪景色でした。タクシー・旅館のバスと乗り継いで旅館に向かう途中、「渡利」「南向台」といった、普段わたしがぽかぽかプロジェクトの仕事をしている際に書類上で見る地名が目に飛び込んできます。放射線量が高いと言われている渡利地区。どのような場所かと思い見てみると、そこには(当たり前なのですが)ごくごく普通の住宅街の風景が広がっていました。
土湯温泉に着いた午後、親御さん方がSave Watari Kidsの菅野さんとの座談会をしている間、子ども達向けにはボランティアで来てくださったマジシャン・福田智大さんによるショーが行われました。トランプが消えたり別の場所から現れたりと、次々と繰り出される不思議に驚きの声が上がります。大トリではなんと、未開封のお茶のペットボトルに、子ども達が直前にサインしたトランプが入っていました!最後には寄付者の方々へ贈る予定のメッセージを子ども達にトランプに書いてもらい、ショーは終了です。



そのあとはゆっくりと過ごして温泉につかり、翌朝には多くのご家族が渡利地区に帰って行かれました。印象的だったのは、出発前に、私たちがロビーに置いた全国の避難支援団体の便覧を見ながら、「もう、別の県に行っちゃおっか?」とお子さんに言っているお母さんがいらっしゃったこと。そして、渡利に戻るということで、いつものことと言いながらマスクをされるご家族がいらっしゃったことでした。
自分の住んでいる場所から別の所に移るという話をしたり、家に戻るのにマスクをしなければならない。そのように否応なく放射性物質がご家族の日常に影を落としている現状を目の当たりにして、やりきれない気持ちになりました。それと同時に、インターンの私にまで「ご支援、ありがとうございます」と丁寧に頭を下げてくださる方がいらっしゃり、嬉しいのですが違和感を感じました。隣に住んでいそうな普通のご家族が、なぜ単なる学生の私に頭を下げなければいけないのか。利用者のみなさんにはぽかぽかプロジェクトがなければお会いすることはありませんでしたが、「支援者」と「支援利用者」に人の関係を変質させてしまうきっかけも作りだした原発事故は、業が深いと改めて感じました。
東京にいると「ふくしま」が特別視される事があります。でも、福島の渡利にいる人達はごくごく普通の人達で、しかしその日常にはたしかに影が落ちていて…つまり、誰かの「普通」が見えなくなったり、その誰かの「日常」が変質してしまう、それは原発事故の大きな爪痕の一つなのではないかと感じました。帰りの電車で、ある福島の方がおっしゃっていた言葉をふと思い出しました:「わたしたちは 〈ふくしま〉でも〈フクシマ〉でもなければ、〈FUKUSHIMA〉でもない。幸福の福に島と書いて福島なんです」。