インドネシア・バタン石火 現場で強行される工事に国軍も関与―日本の官民は黙認していいのか? [2015年04月25日(Sat)]
委託研究員の波多江です。
日本が官民を挙げて推進しようとしている東南アジア最大級の「インドネシア・中ジャワ州バタン石炭火力発電所(2,000メガワット)」の建設予定地では、懸案であった土地収用の決着がついていないにもかかわらず、4月上旬から重機による掘削等が強行されていますが、この工事にインドネシア国軍が関与しているとの情報が現地から寄せられました。 以下の動画は、グリーンピース・インドネシアが現地に赴き、撮影したビデオです(英語のキャプション機能でご覧いただけます)。事業者やインドネシア政府側からの度重なる脅迫にもかかわらず、これまで事業者への土地売却を拒み、農地を死守してきた地権者は74名いますが、そのうちの一人へのインタビューも含まれています。 "Save Indonesia's Food Souvereignity" https://www.youtube.com/watch?v=YwbMlvU1HqA&feature=youtu.be (以下、上記動画の英語キャプションを和訳したものです。) https://www.youtube.com/watch?v=YwbMlvU1HqA&feature=youtu.be "Save Indonesia's Food Souvereignity" インドネシアの食料安全保障を守れ 2015年4月21日、GREENPEACEはビデオグラファーをバタンに送り、バタンの現状を把握し、石炭火力発電に反対する住民の一人の証言を記録した。 計25.5ヘクタールの肥沃な農地をもつ74家族は、今日まで、石炭火力発電事業に反対している。カロマット氏もその一人である。(注:74家族の土地は未売却) バタン住民・地主 カロマット氏 「この土地は事業者であるビマセナ・パワー・インドネシア(BPI)社の土地造成作業に囲まれている。私の土地は掘削はされていないが、私の土地に流れる灌漑用水が(盛土で)遮られてしまったので、将来、どうやってこの土地を耕すことができるのか。私たちの望みは、このような行為が正されることだ。少なくとも、私たちの土地への灌漑用水のアクセス・排水を彼らは認めるべきだ。」 ビデオグラファー:Kasan Kurdi GREENPEACE (以上、動画の英語キャプションの和訳) 上記の動画や以下の写真のなかに写っている重機等には、「ZENI AD」という記載が見られます。これはインドネシア国軍の工兵総局のことを指しているとのことです。 (写真: 農地のなかで盛土の作業を進める重機と周辺を警備する兵士(2015年4月21日撮影、グリーンピース提供) 同事業は、電源開発(J-Power)、および、伊藤忠商事が出資をしており、現在、国際協力銀行(JBIC)、および、民間銀行団が融資を検討しています。まさに、日本が官民を挙げて取り組んでいるこの旗艦事業の現場で、このように国軍まで投入して工事を強行している実態を日本の官民は黙認してよいのでしょうか。 同事業の日本の関係者は、現場での違法・抑圧行為が早急に停止されるよう、しかるべき対応をとるとともに、事実関係の確認を行ない、今回の違法行為で生じた損害について、適切な回復・補償措置が講じられるよう、対応していくべきです。また、住民の合意が得られず、非合法な方法でしか推進できない同事業から、日本の官民は撤退すべきです。 (以上) ※インドネシア・バタン石炭火力発電事業に関する詳細はこちら http://www.foejapan.org/aid/jbic02/batang/index.html |