FoEドイツ代表ら来日: 菅直人氏との会談と、シンポジウム開催 [2014年11月04日(Tue)]
●菅直人氏との会談
10月21日、FoE Japanは、FoEドイツ代表のフーベルト・ヴァイガー氏、リヒャルト・メルクナー氏とともに、衆議院議員・菅直人氏を訪問しました。 菅氏の議員室にて、FoEドイツ、FoE Japan、ベルリン自由大学元准教授の福沢啓臣氏、ドイツ大使館の大石式部氏、FoE Japanやeシフトのメンバーなどが参加し、1時間ほど時間をいただきました。 「3.11後に初めて考えを変えた」と菅直人氏。今年(2014年)3月にはドイツ、ポーランド、フィンランドを訪れ、福島原発事故について報告したとのこと。 また、9月に福島第一原発を視察し、廃炉に向けた現状を視察したことも話されました。 「政治の世界で意見を変えるのは大変なこと。その決断に敬意を表する」とフーベルト・ヴァイガー氏。ドイツでも2022年までの脱原発を決定したものの、FoEドイツ(BUND)など市民が求める「即時停止」とは程遠く、まだまだ政治へのアピールが必要とのこと。そこで、ドイツで現在運転している9基の原発のうち、バイエルン州のグローンデ原発が最初に廃炉となる来年、2015年に、ぜひ菅直人氏をドイツに招待し、政治への働きかけを行いたいと、提案しました。 菅直人氏からは、選挙などの日程によるため即答はできないが、日程が合えば、と前向きな回答をいただきました。また、同日午後のシンポジウムにも、終了まで参加いただきました。 また菅氏は2013年6月、米・カリフォルニアにてサン・オノフレ原発の停止が決まる直前に同地で講演を行い好評を得たそうですが、その主催者もFoE米国でした。 ●シンポジウム「ドイツのエネルギーシフトと市民参加、核廃棄物最終処分場問題」 詳細・資料はこちら URL http://www.foejapan.org/energy/evt/141021.html FoEドイツの二人は、ドイツの脱原発・エネルギーシフトを支えてきたのは市民の力だと強調します。 FoEドイツ(ドイツ環境自然保護連盟・FoEドイツ)も、各地の環境・反原発グループをネットワークする形で、全国に2000以上の地域グループを持つ国レベルの組織に成長しました。WWFやグリーンピース、NABUなど含めて全国で200万人ほどもの、「環境団体」会員がいるといいます。 核廃棄物処分場問題に関しては、ドイツで現状すでに、行き場のない悩ましい問題となっていることが伝えられました。原発計画の当初から最終処分場候補とされてきたゴアレーベンは、地盤の不安定性とともに、地元や全国の市民による度重なる反対運動により、社会的にも非常に難しい状況となっています。 アッセの中間貯蔵施設は、地下水浸水が年々進み、乱雑に積み上げられたドラム缶は取り出すことが決まったものの、行き場を決められないためにそのままとなっています。 脱原発、再生可能エネルギーへのシフトについても、政治レベルではまだまだ課題はあるものの、それを支えているのは市民であり、自治体です。「下からのエネルギーシフト」こそ、ドイツで今活発に動いているものです。 続いて、日本側から5名がコメントし、質疑応答を行いました。 ○福澤啓臣さん(元ベルリン自由大学准教授) 「ドイツに40年以上住んでいる。ドイツは福島第一原発後にすぐに脱原発を決めたが、もし原子力村の現状を知っていたら、ドイツは違う、ということになったかもしれない。事故を経験しながら原発の再稼働とは、信じられないといつもいつも言われる。」 ○吉岡斉さん(原子力市民委員会座長) 「政治の問題だと思う。 ○細川弘明さん(原子力市民委員会事務局長) 「核廃棄物処分問題は、高レベル廃棄物で6000トン、今後さらに4000トン増える。さらに、中レベル、低レベルもある。日本でもまったく決まっていない。」 ○満田夏花(FoE Japan、原子力市民委員会座長代理) 「現地の住民と連携して、市民の声を可視化する動きを、現在鹿児島でも作っている。特に、万一事故が起こった場合に避難計画の具体性がまったくない。この点は無視されてはならない。」 ○近藤昭一(原発ゼロの会共同代表) 原発ゼロの会は、超党派の国会議員の連盟。現在は人数は減っているが、継続して勉強会を開催している。民主党では、原発ゼロの方向に舵を切っているが、政治を変えなければならないと実感する。 ヴァイガー氏は最後に、次のように締めます。「ドイツでは再生可能エネルギー法の導入により、多少は電力料金も上がった。しかし、国民のアンケートで、それを受容する声が多数を占める。何より、原発事故のコスト負担とは比べ物にならないとみな考えている。今後、地域ごとのエネルギー独立の方向に向かっていくべき。」 (吉田 明子) |