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70年の核廃棄物の歴史〜 その始まりの地シカゴにて [2012年12月06日(Thu)]

スタッフの吉田です。
12月1日〜3日、シカゴで開催されたイベント「A Mountain of Waste 70 Years High: Ending Nuclear Age(70年分の核廃棄物の山:核の時代を終わらせる)」に参加しました。

1942年の12月2日、物理学者エンリコ・フェルミが初めて核連鎖反応の制御を実現し(人類が犯した最大の過ちであった、とも言われる)、最初の一盛の核廃棄物が生み出されました。それからちょうど70年、危険な放射能を生み出し続けている「核の時代」を振り返るという企画でした。

主催者の一人、シカゴで長年にわたり原発問題や核廃棄物問題に取り組むDavid Kraftさん(NEIS: Nuclear Energy Information Service)は言います。「過ちを二度と繰り返さないためには、歴史に学ばなければいけない。」

12月1日、2日と開催されたシンポジウムは、20名ものスピーカーが国内外から招かれ、7つのパネルセッションと5つの講演、1つの映画上映からなる盛りだくさんなもので、下
記のテーマで迫力ある報告と質疑が行われました。

●放射線被害の実態−環境正義 人々はどこに?
●原子力発電と核兵器との関係
●核廃棄物による汚染の実態
●福島の現状
●ヒバクシャの経験
●原子力を超えた未来(The Way Forward)−原子力も核兵器もない未来

>詳細はこちら
http://neis.org/2012/10/mountain-2012/

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最初の「放射線被害の実態」セッションでは、19歳の若き活動家が、ニューメキシコ州のロスアラモス国立研究所(核兵器開発等研究施設)における被曝労働の実態を語りました。サウスダコタ州ブラックヒルズの、ウラン鉱山周辺に住む先住民族の女性は、鉱山開発により「聖なる場所」が失われたこと、付近の小学校が今も高い放射線被曝にさらされていることを語りました。目に見えない放射能汚染が、隠蔽され伝えられない形で、今も付近の住民の生活を脅かしていることが切実に訴えられたセッションでした。

また、カナダ・トロント在住で、学徒動員されていた13歳のときに広島で被爆したセツコ・Thurlowさんは、原爆投下当時の様子を昨日のことのように生々しく語りました。平和への願いを各地で伝えているというセツコさんの話は、言うまでもなく聴衆の心を動かしました。

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<セツコさん(右)、参加者でシカゴ市民のロベルタさんと>

私からは、FoE Japanとして「福島の状況」と「日本のエネルギー・原子力政策見直し」について報告しました。福島の状況では、学校20ミリシーベルト基準撤回運動から避難政策、賠償政策とそれに対する福島・全国の市民の声と粘り強い働きかけ、ぽかぽかプロジェクト、そして原発事故被災者支援法の成立と現在の状況を話しました。
つたない発表となってしまいましたが、その後多くの方が、福島現状への共感と「来てくれて、話してくれてありがとう」と」暖かい言葉とかけてくれました。

エネルギー・原子力政策の見直しについては、この夏のエネルギー選択「国民的議論」の様子と市民のアクション、そして原子力規制委員会の成立と課題について話しました。
このパネルセッションをコーディネートしたポール・ガンターさん(Beyondnuclear)は、12月15−16日の「Nuclear Free Now:脱原発世界会議2」の原子力規制セッションで、アメリカの原子力規制委員会(NRC)について報告されます。NRCについては山ほどの批判があり、会議で話す予定だが、日本の原子力規制委員会はその悪いところを踏襲してしまったようだ、と話していました。

2日目の午後、セッションの終了後に、70年前のシカゴ大学の核実験施設跡地でのセレモニーが行われました。1967年、そこには記念モニュメントとして、ヘンリー・ムーアの彫刻「Nuclear Energy」が建てられました。この彫刻は、原爆のキノコ雲を、また頭蓋骨をも連想させると言われています。ムーアはイギリスで反核運動に参加していたこと。この抽象的彫刻にはNuclear Energyの恐ろしさ、危険性への警告、批判がこめられていることがわかります。

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<Nuclear Energy 彫刻とひろばでの祈念アクション>

12月3日には、主催のDavid Kraftさんの案内で、シカゴ郊外で世界最初の原子炉が埋設されている場所を見学、約20名が参加しました。Red Gate Woodsと呼ばれるこの場所は、今はハイキングコースになっています。
秋らしい風景の小道を少し歩いたところに、マンハッタン計画の現場、フェルミの実験の次に作られた原子炉(CP2:Chicago Pile 2)が埋められている場所はありました。

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また、こちらは、当時の放射性廃棄物が埋められている場所です。「注意!地下を掘らないでください」と書かれている石。最後には、「THRE IS NO DANGER TO VISITORS:訪問者には影響はありません。」の「NO」の部分は削られています。地元の活動家たちがアクションとして削りとったのだそうです。ハイキング出発地の駐車場は0.06マイクロシーベルト程度だったのに比べ、この石の付近は、0.3マイクロシーベルト以上を計測。70年を経てもなお、放射線放出は続いています。

※地元メディアによる取材記事「反核団体が核廃棄物の現場訪問」
http://southtownstar.suntimes.com/news/16789822-418/anti-nuclear-groups-visit-waste-site-in-palos-township.html

日常に追われると思いの及ばなかった70年にわたる「核廃棄物」の歴史と傷跡の深さを様々な形で学びなおした3日間となりました。
ヘンリー・ムーアの彫刻前でのセレモニーで、セツコさんが紹介された次の言葉を最後に。
「歴史を学ぶ人は、未来を考えることができる。ヒロシマを学ぶ人は、平和な世界をつくることができる。」
いま、私たちは、チェルノブイリを、福島原発事故を、学ばなければなりません。
                                (吉田明子)
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