食品を取り扱う事業者は、食品衛生等に関する様々な法令や知見等を知り、食の安心・安全を守る必要があります。
昭和22年に施行された「食品衛生法」という法律では、飲食による危害の発生の防止を目的とし、腐敗や病原微生物による汚染、異物の混入した食品の販売等が禁止されています。違反した者には罰則規定のある厳しい法律です。
この販売には、不特定又は多数の者に授与する場合も含まれ、フードバンクの活動で第三者に食品を譲渡する場合も該当します。これは、製造元で異物が混入した食品をフードバンク活動団体が譲り受け、第三者に譲渡した場合、製造元だけでなく、活動団体も責任を問われる可能性があるということです。
2016年に、農林水産省は、「フードバンク活動における食品の取扱い等に関する手引き」を作成しました。この中で、活動団体が遵守すべき衛生管理として、食品情報の記録の作成が記載されています。記録は、食品を取扱う事業者にとって最低限必要な衛生管理で、食品の提供先への正確な情報伝達のためだけでなく、自らを守るための目に見える証拠にもなります。
例えば、『株式会社●●食品が製造した“鯖の味噌煮(缶詰) 賞味期間 2019.7”に異物混入のおそれがあるため、会社が自主回収をしている。』という情報があった際、記録がなければ、自分の団体がその食品を取り扱ったか、また、誰に譲ったのかもわかりません。逆に、きちんと記録していれば、譲渡先に対し、「同じ商品でも賞味期間が違うので安心です。」と自信を持って答えることができます。
食品を譲り受ける方は、活動団体を信頼して食品を受け取っています。その方たちの信頼を裏切らないためにも、適切な衛生管理の順守に努めていきたいと考えています。
<農林水産省ホームページ>
http://www.maff.go.jp/j/shokusan/recycle/syoku_loss/foodbank.html(山口市 山本倫也)