４月の活動予定 (1)
市町村の犯罪被害者等施策について考える（総論）[2011年01月05日（Wed）]
すでにブログでお知らせしているとおり、昨年末に岡山市が犯罪被害者等基本条例を制定し、岡山県も４月施行に向けて犯罪被害者支援条例の制定を準備している状況にあります。
そして、１月には市長会において全市一斉の犯罪被害者支援条例制定の呼びかけがなされる見込みです。
条例の重要性は言うまでもありませんが、問題はその策定プロセスと、制定後の具体的施策推進のあり方です。
ＮＰＯとして何故いまこの問題に注目しているかというと、被害者の声が反映される施策推進であってほしいと願うからです。
岡山市の場合もそうですが、条例制定のプロセスで被害者の声を聴こうという姿勢がありません。支援団体の声に押されて、条例策定に動くことそのものを否定するつもりはありませんが、内閣府が作成した地方自治体施策担当者のための手引きを見ても、まず現状把握と被害者の声を聴くことからとあります。
内閣府ホームページ（施策推進の手順）から
現に、国、県はそうして取組みを始めたわけです。被害者団体と被害者支援団体と両方の意見をていねいにヒアリングして施策推進がなされたことは、この５年間に数々の制度改革へと結びついています。そして、岡山県は２００９年６月に市町村の施策までカバーした「犯罪被害者支援ハンドブック」を作成しています（網羅的なハンドブック）。
では市町村レベルではどうでしょうか。
行政区画が小さくなればなるほど、被害者の姿は点となり、そして見えなくなっていきます。見えない被害者の声は聞こえません。聞こえない被害者の声はないものと扱われます。そして、机の上だけで施策が形作られていきます。こうした空疎な展開を避けるうえでも、この５年間ＮＰＯなりに被害者の声を届ける努力をしてきたつもりです。
しかし、行政の特徴といってしまえばそれまでですが、自分の担当にならなければ関心は持たないし、担当になっても休みの日にわざわざＮＰＯ主催のシンポジウムや講座を聞きにきてくださる市町村担当者は数少なかったです。
県の関係者は岡山の場合、皆さん熱心で、足を運んで、学ぼうとされました。その中から私たちも気づかされたり、励まされたりして、この５年間ＮＰＯの活動を続けることができました。
今回、トップダウン方式で条例が作られていくことと思います。その過程で被害者の声に耳を傾けることを忘れないでほしいと思います。残念ながら岡山市からは高橋さん、市原さんには何の声もかかりませんでした。
もちろん被害者支援団体の声を聞くことも大切でしょう。被害者支援団体が被害者の声をきちんと代弁している組織もあることでしょう。
しかし、岡山の場合、被害者支援センターが大きな社団法人であり、自ら中核的な支援組織を標榜しながら、他の小さな二つのＮＰＯをホームページでリンクもせず無視し、あたかも自団体が全ての被害者支援を代表しているかのような行動をとっているように外からは見えるので、残念ですがそうした団体が多くの被害者の声を代弁することは困難なのではないでしょうか。
各市町村の施策担当の方には、たとえトップダウンで条例が作られようと、自らの足で被害者のもとに出向き（それが無理なら来てもらって）話を聴くところから、具体的な施策推進を考えていただきたいと思います。
参考までに内閣府の犯罪被害者等施策の手引きは下記のとおりです。
そして、ＮＰＯの５年間の活動を出向いた市町村別に順次ブログにアップしていきます。
お金をかけなくても、予防・啓発、介入・直接支援、長期支援など各領域で多くのことが可能です。すでにこの５年間で身近なところで、かなりのことができています。何か目新しいことをする必要はないのかもしれません。既存の制度をいかにコーディネートできるか、見えない姿や聞こえない声にいかに気づくかが大切かもしれません。
ＮＰＯの活動記録ですが、各市町村との関わりの部分をピックアップして特筆すべき点をコメントしていきたいと思います。他の市の先駆的取組みや取組みのきっかけ作りなど参考になるかもしれません。
そして、岡山県外の市町村の施策担当の方々にもお役に立てる部分があろうかと思います。参考にしていただけたらと思います。
１回目は津山市を、２回目は赤磐市を取り上げます。
内閣府ホームページ（犯罪被害者等施策の手引き）から
